第36話 1.3.10 幼なじみとのアキバデート
俺はラブコメ要素多めの異世界ファンタジーである新作を投稿していた。
新作はかなり自信があるが読者にこの思いは届くだろうか。
そう考えると緊張でドキドキしてじんわりと汗ばんできた。
1日目。10PVだった。
3PV以上見られてる!!
フォローも3人してくれてる!!
3PVは処女作である1作目のラブコメの1日目のPVでこれを越えることを目標にしていた。
俺はとても嬉しくなった。
2日目。15PV。
いいぞ、いい具合に階段になってる。
3日目。10PV。
なんでだよ!?
ここでPVがガクッと落ちるとは思わなかった。
思わずXにとあるポストを投稿する。
『新作の方なのですが今日で一気にPVが落ちました。PVが低くてもモチベを維持する方法が知りたいです』
『キャッチコピーとあらすじは再考する余地があるように思います』
との返信を受けた。
それで1時間かけてキャッチコピーとあらすじを考えた。
キャッチコピーは『異世界×メカ×ラブコメ』から『幼なじみとイチャラブしながら異世界を冒険するお話です』に変えた。
あらすじは3行程度のものだったのを10行ほど書いた。
それが功を奏したのか日間100PVを越えた。
☆
日曜日。
今日、俺は瑠夏とアキバデートに行く。
東京駅で待ち合わせだった。
隣りに住んでるなら一緒に行けばいいと思うかもしれないが瑠夏がそれだとデートっぽくないと言うので待ち合わせにした。
11時東京駅。俺は八重洲中央口にいた。
東京駅に初めて来たときは広すぎて迷子になったっけ。
八重洲南口を目指していたのだがなぜか地下の丸の内地下北口にいた。
人についていけばいいと思って人についていったらなぜか地下にいたのだ。
あれは本当に焦った。
瑠夏遅いな、そう思っているとLINE通話が来ていた。
『コウ君、コウ君、どうしよう、どうしよう、私道に迷っちゃった!!』
『何でだよ、瑠夏お前東京出身だろ』
『だってだって再開発? で工事中だったりして久しぶりに東京来たら全然道が違うんだもん!!』
『落ち着け、落ち着け。今、何か目印になるものあるか?』
『あっ、八重洲東口って書いてある』
『何で地下に行ってるんだよ!?』
10分後、俺たちは合流した。
「コウくーん。心細かったよう、もう一生会えないのかと思ったよう」
瑠夏は泣いていた。
よっぽど心細かったのだろうか。
そんな彼女を見て俺はいとしく思った。
それで俺は瑠夏を抱きしめ耳元で囁いた。
「大丈夫。大丈夫だから」
「ヒャッ……。コウ君、耳はダメ……。弱いから」
瑠夏は耳が弱いようだった。
初めて知ったことだった。
高校までは手を繋ぐだけで赤くなっていて性感帯など知る由もなかった。
「可愛い、可愛いよ、瑠夏」
「ヒャッ……。耳元でそんなこと囁かないで……。私、おかしくなっちゃいそう……」
「アキバまではもう離れ離れにならないようにこう手を繋ごうぜ」
そう言って俺は指を絡ませて手を繋ぐ。
恋人繋ぎだった。
「コウ君と恋人繋ぎ……!」
俺は終始ドキドキしっぱなしだった。
手を繋ぐことさえハードルが高いのに恋人繋ぎである。
もちろん高校生のときもしたことはあるんだが何度やっても慣れることはなかった。
俺は手汗がやばいくらい出ていて瑠夏に気づかれないか心配だった。
「帰ってきたぜ、俺たちのアキバ!!」
「ふふ、コウ君いきなりどうしたの?」
「やっぱアキバに来たらこのセリフ言わないとな」
それで俺たちはまずアニメイトに行った。
「天使の子のジュエルちゃんのアクリルスタンドがある!!」
天使の子。
天使と呼ばれたアイドルの子、
それで幸せな日々を過ごす主人公だがある日母を殺されてしまう。
その復讐のため芸能界という世界に入るというストーリーである。
妹なのだが転生前は主人公のことを慕っていて好きだったという設定である。
俺と瑠夏は原作をシトラスコミックと紙両方見ており、大ファンだった。
今、大人気のアニメで今期の覇権アニメと呼ばれていた。
「こっちにはVAOのマンガも売ってるぞ!!」
VAO。
正式名称はヴェルデルフィア・アドベンチャー・オンライン。
VAOとは炎龍によって国を奪われた亡国の姫騎士サクヤ・フォン・リッテンフェルトが炎龍を討伐することで勇者として名を馳せ、何十回もの戦争で勝ち進んでいくというストーリーである。
ちなみにサクヤは西の勇者であり東の勇者は魔王を討伐したシグルド・フォン・ヴェルデルフィアという設定である。
シグルドは主人公サクヤの親友であり戦友である。
シグルドは第1次オリーヴ戦争で戦死するという設定である。
シグルドの戦死によって絶望するサクヤだが(闇堕ちする)周囲の助力により徐々に気力を取り戻していくというストーリーである。
大人気のスマホゲーである。
「プリンセスバトルドールズのCDも売ってるよ!!」
プリンセスバトルドールズ。
終末の世界で獣と戦う運命を背負わされた少女たちの儚くも美しい物語。
プリンセスバトルドールズに昔助けられ憧れていた主人公の少女は念願だったプリンセスバトルドールズに就任する。
それから少女の戦いは始まるのであった……というストーリーである。
今、大人気のスマホゲーである。
「こっちにはキミキセのサイン本も売ってるぞ」
「本当!? 絶対買わなきゃ」
俺たちはSS目当てでアニメイト、ゲーマーズ、メロンブックスでキミキセの最新巻を買った。
メロンブックスにて。
「
道影ラナ。
VTuberである。
天界を追放された堕天使という設定だ。
大人気企業勢で登録者は100万人を超えている。
俺たちはお互いにオタク趣味という共通点があった。
だからアニメやマンガ、ラノベ、ゲーム、VTuberと共通の話題が多くとても楽しかった。
気の置けない親友のようで瑠夏との交際は本当に充実していて俺にとっては瑠夏と付き合うメリットだった。
メリットというと損得勘定で付き合っていると思われるかもしれないがそれは違う。
俺は瑠夏のことが好きで心の底から愛していた。
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