第35話 1.3.9 幼なじみとの神社デート

 ユーラント王国。


 西方諸国の1つ。商業国家。帝国主義国。


 十三国の列強の1つ。かつての覇権国家。


 ☆


 異世界。皇国首都東都。


 期末テストが一段落した俺たちはデートをしようという話になった。


 それでどこに行きたいか瑠夏に聞いてみたところ神社と返ってきた。


 瑠夏は現実世界でも神社・仏閣巡りが趣味で皇国の神社にもとても興味を持っていた。


 それで皇国の神社に実際に行ってみることになった。


 皇国の神話ではツクヨミノミコトの子供である大御神が皇国を作ったことになっている。


 皇国の皇室はツクヨミノミコトの子孫ということになっている。


 ツクヨミノミコトたち月の民ははるかかなたの星地球の日出ずる国から来たらしい。


 そのため皇国では日出ずる国を兄弟国と呼んでいる。


「私、大社に行くの初めてなんだー。ドキドキしてきたよー」


 俺たちは大社と呼ばれる神社に徒歩で向かっていた。


「俺、神社とかの礼儀作法全く知らないんだけど大丈夫かな?」


「大丈夫だよ。私が手取り足取り教えてあげるから!!」


 瑠夏が自信たっぷりに応える。


 おお、これは頼りになりそうだ。


 神社・仏閣の知識で瑠夏の右に出る者はいないだろう。


「まず、鳥居に入るときなんだけど参道では真ん中ではなく端を歩くんだ。真ん中は神様の通る道だから」


「へー、そうなんだ」


 俺は言われた通り参道の端を歩く。


「次に手水で手を清めるんだ」


「了解」


 俺は手水で手を清めた。


「次に参拝の方法なんだけど皇国では2礼2拍手が作法になってるらしいよ。1回お辞儀して2回手を叩いて何かお願いごとをするか感謝するらしいよ。それで最後にもう1度お辞儀するらしいよ」


 俺は言われた通り1回お辞儀2回拍手した。


 それでダンジョン攻略ありがとうございましたと感謝を述べた。


 そして最後にもう1度お辞儀する。


「コウ君、コウ君、何をお願いしたの?私はずっとコウ君の隣りにいられますようにってお願いしたよ」


 やっぱり俺の彼女は可愛い。


 そんなこと願わずとも俺はずっと一緒にいるというのに。


「俺はダンジョン攻略できました。ありがとうございますって感謝を伝えたよ」


「あー、一姫ちゃんが覚醒してインプレッション・シーカーっていうユニークスキルで大活躍したんだよね。私も実際に見てみたかったな……。凄かったんだよね?」


「ああ、一姫のインプレッション・シーカーはヤバかった」


「コウ君、コウ君、今度はお守り買っていこうよ」


 今日の瑠夏はいつも以上に子犬みたいで初めての大社に興奮していることが分かった。


「ああ、瑠夏は何のお守りにするんだ?」


「私は恋愛成就かな」


「恋愛成就ってもう叶ってるじゃないか……」


 そう俺たちは付き合っているのだから恋愛成就のお守りはいらないのではないか、そう思った。


「ここの大社の恋愛成就のお守りには浮気防止も含まれるんだよね。ウチの彼氏は天然の女たらしだからねー」


「あはは……」


 俺は苦笑いするしかなかった。


「アイナちゃんとの二股だって私、本当は本当は嫌だったんだからね。これ以上コウ君が浮気しないよう神様にお願いしないとね」


「いや……その……すまん」


「ちょっといいですかお二人さん」


 そのとき神社の巫女さんに話しかけられた。


「今、巫女の体験会をしているのですがやっていきませんか? 女性限定ですが」


「やります!!」


 瑠夏は即答だった。


 もともと巫女さんにも興味を持っていた瑠夏のことだ。


 巫女の体験会ということで飛びつかないはずがなかった。


 10分後。瑠夏が着替えから出た。


「おお……」


 俺は言葉が出なかった。


 俺は瑠夏の巫女姿に見惚れていた。


 大和撫子という外見だったので巫女が似合わないはずがなかった。


「どう? どう? コウ君?」


「ああ、似合ってる、可愛いよ、瑠夏」


「本当? やったああ!!」


 その後、瑠夏は巫女の1日体験会をした。


 瑠夏はとても楽しそうでこっちまで楽しくなってきた。


 夕方。


 巫女の1日体験を終えた瑠夏は俺と一緒にとある場所にいた。


「これが恋の石……!! ねえ、コウ君知ってる?」


「なんだ?」


「この恋の石の前でキスした二人は一生添い遂げることができるんだって。……ねえ、キスしようよ」


 瑠夏が潤んだ目で俺を見つめてきた。


 俺はその目に吸い込まれるように顔を近ずけ軽く口づけをした。


「えへへ、これで一生一緒だね、コウ君」


 そう微笑んだ瑠夏の笑顔は美しい、そう思った。


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