第29話 1.3.3 小泉詩音の異世界転移
聖剣。
魔物のコアを唯一打倒することのできる精霊の兵器。
聖剣という名前だが剣でなくても構わない。
聖剣の性質があれば槍でも弓矢でも銃でも良い。
神聖七星位聖剣や準神聖星位聖剣などいくつかシリーズがある。
初心者には量産剣から使うことが推奨されている。
☆
ピンポーン。
インターホンが鳴った。玄関に出ると凪波とサーシャちゃんがいた。
「兄貴、今日もお邪魔します」
「お兄様、お相伴に預かります」
「よく来たな。2人とも。今日は生徒会の仕事、無かったのか?」
「はい、今日は早く済みました」
そうしてリビングに入る。
「ええええ!? 詩音ちゃん!?」
「本物!? 本物の詩音ちゃん!?」
2人は詩音ちゃんを前にして興奮していた。
「はじめまして。私は小泉詩音です」
「ファンです!! 大ファンです!! サインください!! 握手もお願いします!!」
「ん? なんで本物の小泉詩音ちゃんがいるんですか? ここは現実世界ですよ。」
「ああ、それはだな……」
2人に今日あったことを話す。
俺が瑠夏と一姫とスーパーに買い物に行った後、部屋に小泉詩音ちゃんがいたこと。
詩音ちゃんは自分のことをライトノベルの精霊と言ったこと。
「ええええ!? ライトノベルの精霊!?」
「ということは詩音ちゃんも異世界に召喚されるんですか?」
「ああ、たぶんな」
ピンポーン。
俺が玄関に出る。藍那だった。
「会いたかった!! 会いたかったよう、光覇兄。」
藍那が抱きついてくる。
「くんくん·····くんくん。光覇兄に新しい女の匂いがする」
え?
「また女!? また女なの、光覇兄!?」
匂いで分かるとか犬かよ!?
「藍那にとってサプライズになると思うぞ」
そうして俺たちはリビングに入る。
「え·····。嘘·····。詩音ちゃん?」
藍那は驚きのあまり言葉を失っているようだ。
「はい、私は小泉詩音です」
「詩音ちゃんが·····現実にいて·····動いて·····喋ってる!? なんで!?」
「ああ、実は·····」
それで俺は藍那に凪波とサーシャちゃんにしたように同じ説明をする。
「ライトノベルの精霊!? 嬉しい!! 会えて嬉しいよ、詩音ちゃん!!」
そう言って藍那は詩音ちゃんに抱きつく。
藍那もキミキセのファンで詩音ちゃん推しなのだ。
「藍那さん離れてください。詩音ちゃん困ってますよ」
凪波が藍那をたしなめる。
「はっ、ご、ごめん。痛かった? 痛かったよね?」
「痛くないから大丈夫ですよ。こんな熱心なファンがいるなんて私、嬉しいです」
「キャー!! かわいい!! かわいすぎるよ、詩音ちゃん!!」
「はいはーい。みなさーん。夕食できましたよー」
今日も瑠夏の夕食のカレーライスはおいしかった。
☆
異世界。皇国。シュタットフェルト家の屋敷。
「おはようございます、コウハ様。今朝精霊の兆しが出たようですね」
精霊の兆し。
特別な水晶で精霊の召喚ができるか分かる現象だ。
水晶とスマホはBluetoothで繋がっておりスマホでも精霊の兆しの通知が出ていた。
そうして俺は精霊召喚の儀を行った。
召喚されたのは案の定詩音ちゃんだった。
「光覇君? 光覇君なの?」
「ああ、俺は宮内光覇だ。こっちの世界ではコウハ・スカイマークっていう名前だ」
「ここが異世界なんだ·····!! コウハ君、異世界でもよろしくね」
こうして詩音ちゃんが無事に異世界転移できたのだった。
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