1.2.13 ラブレター

 俺は家で2番目のラブコメのPVを見ていた。


「777PV……!! ラッキーセブンじゃん!!」


 そう777PV、なんとも縁起の良さそうな数字になっていたのである。


 俺は記念にスクリーンショットを撮ってX(旧Twitter)に投稿する。


『777PVありがとうございます!! なんとも運の良さそうな数字ですね』


 PVは増えたら嬉しいのだがしばらくは増えてほしくないと思ってしまった。


 この幸運な数字をもっと見てみたかったのである。


 複雑な心境だった。


 ☆


 俺はスーパーに行った帰り、ポストを確認したら一通の手紙が入っていた。


「ん? 何だ……この手紙?」


 差し出し人の名前はない。不明だった。


「コウ君、どうしたの?」


 瑠夏が後ろから聞いてきた。


 瑠夏が料理を作るのでスーパーに買い出しに行くのが習慣となっていた。


 俺は荷物持ちである。


「い、いや、なんでもない」


 俺は慌てて手紙をチラシの下に隠す。


 なんとなく瑠夏に見せるのはためらわれたのである。


「今日はコウ君の大好きなコンソメスープだよ」


「それは楽しみだな」


 ☆


 俺と瑠夏、藍那、凪波、一姫は一緒に食事をとるのが習慣となっていた。


「わわ、このコンソメスープおいしいです、瑠夏さん」


「お粗末さまです。凪波ちゃん」


「光覇兄、はい、アーン」


「なっ……!? わ、私だってコウ君、はい、アーン」


 俺は瑠夏と藍那という2人の美少女からはいアーンをされていた。


 俺はどっちを選べばいいんだ!?


 究極の選択だった。


「はいはい、2人とも料理で遊ばないでください」


 凪波が助け舟を出してくれた。


 ほっ……助かった。


「瑠夏さん、おかわり!!」


 一姫が元気良くおかわりをしていた。


 ☆


 俺はその後、凪波を東京の実家まで送り届けた。


 そして瑠夏、藍那が自分の部屋に戻り、一姫が風呂に入ったので俺は1人になる。


 俺はチラシの下に隠した手紙を取り出す。


 開いてみた。


『あなたのことが好きです。

 明日、帝桜城南ていおうじょうなん高校の空き教室に来てください』


 なんとラブレターだった。


 帝桜城南高校。


 略称は帝城高校。


 凪波の通う高校である。横浜にある。


 なぜ凪波が横浜の高校を選んだのかというと俺が横浜海洋大学に進学したので近くに行きたいと主張したからである。


 俺たちは周りが羨む仲良し兄妹なのだ。


 凪波は生徒会に参加しているので帰りが遅くなるときは帝城高校に迎えによく行っている。


 だから凪波の友達や生徒会のメンバーはよく会っていてなぜかお兄様と呼ばれている。


 つまりこの差し出し人は凪波の友達か生徒会のメンバー?


 ☆


 翌日。俺は帝城高校の空き教室にいた。


 その子が入ってきた。美少女だった。


 ハーフだろうか茶髪の髪をセミロングにしている。


 その顔には見覚えがあった。


「サーシャちゃん?」


 彼女の名前は中西なかにしサーシャ。


 凪波と同じ生徒会のメンバーで書記をしている。


 凪波と親友で何度か会話を交わしている。


「お久しぶりです。お兄様」


「君がラブレターの差し出し人なのか?」


「はい……はい、そうです」


「俺のことが好きなのか?」


「はい、お兄様を一目見たときから私は恋に落ちました。だから好きです。私と付き合ってください」


「……。ごめん。俺には彼女がいるんだ」


 俺には瑠夏と藍那、2人の彼女がいるからね。


「じゃあ、セフレでいいです」


「え?」


「セフレでいいです!!」


 2度言った。


 いやいやいや、セフレっていろいろ段階飛ばしすぎだろ。


 大体、高校時代付き合っていた瑠夏ともそんな関係になったことないのに(チキンで誘えなかったチェリーボーイだ、俺は。)


「いやいやいや、俺たちがセフレ? 数回しか会話してないのに?」


「今から証明します」


 そう言って俺の手をとり彼女の豊かな胸に押し当てた!


 幸せな感触が俺の手に広がる。


「な、何してるんだ。サーシャちゃん!?」


「これが証明です。いつでもどこでも私の胸や尻に触ってもらって結構です。これがセフレになるという私の覚悟です」


 いつでもどこでも胸や尻に。


 男なら普段妄想するシチュエーションであろう。


 だが現実になるとただただ困惑しかなかった。


「ええ……?」

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