第13話 1.2.3 ダンジョン攻略:チュートリアル

 エールラント連合王国。


 十三国の列強の1つ。


 帝国主義国。


 世界で1番最初に産業革命を経験した。


 立憲君主制国家。


 エールラント連邦として世界中に植民地を持つ。


 エールラント語は世界共通語となりつつある。


 ☆


 心海の周りにはクラスメイトが集まっていた。


「結城さんって三管領家の1つの?」


「お嬢様じゃん!!」


「何でコウハ君のこと兄貴って呼んでるの?」


「……えっとそれは兄貴は大切な人だからです」


 大切な人。


 その一言で女子たちが色めき立つ。


 キャーキャー黄色い歓声がうるさい。


「あー、俺から言っておくけど心海は俺の幼なじみなんだよ。だから昔から兄貴って呼んできてたんだよ」


 とっさに俺はそう嘘をつく。


 話を合わせてくれと心海にアイコンタクトを送る。


「はい、そうです。幼なじみだから昔から兄貴って呼んでます」


「へー、そうなんだ。2人とも仲良いんだね」


「おーい、お前ら次講堂で理事長のお話だから遅れるなよー」


 担任のリゼ先生がそう注意をする。


 その注意を受けてクラスメイトたちはバラバラと講堂に向かっていく。


「お兄様、私たちも行きましょう」


「兄貴この美少女誰? あと、お兄様ってまさか……」


「ああ、コウハ・スカイマークの妹、シルファ・スカイマークだ」


「妹!? 兄貴に私以外の妹がいるなんて……」


「異世界だからな」


「異世界で私以外の妹を作るなんて……。どんだけ妹萌えの萌え豚なの?」


「萌え豚って言い方!! ……そろそろ俺たちも行こうぜ、遅刻しちまう」


「うー、後でじっくり話してもらうからね」


 講堂には中等部の2年生全員が集まっていた。


 異世界転移して分かったことがある。


 それはもともと異世界にいたコウハ・フォン・フレーデスヴェルクという人格に現実世界の宮内光覇の人格が混じりあったような感覚だということだ。


 決してコウハの人格が消え去ったわけではないらしい。


 転移した直後は意識がはっきりとしなかったが今ではコウハという人格がはっきり分かる。


 コウハの記憶、何を考えていたのか、何が好きだったのか、何が嫌いだったのかがだんだん分かるようになってきた。


 だんだん俺とコウハの境界がなくなっていく、そんな感覚がした。


「誇りあるシュタットフェルト精霊学園のみなさん。みなさんは2年生になってついに課外授業としてダンジョン攻略をしてもらうことになりました。この後にはみなさんに班分けをしてもらいます。班分けは同じ学年だったら誰と組んでもらっても構いません」


 俺はシルファ、瑠夏、心海、アスハの5人で班を組むことにした。


「コウ君、結城さんってもしかして凪波ちゃん……?」


 瑠夏が心海を指さして聞いてくる。


「よく分かったな。その通りだ」


「なんとなく雰囲気が似てたから」


「久しぶり……っていうのはちょっとおかしいか。今日会ったばかりですし。瑠夏さんもともと美人だったけどこっちではさらに美人ですね」


「ふふ、ありがとう。褒めても何も出ないよ」


 ここで俺は全員の精霊のステータスウィンドウを確認した。


 まずシルファの精霊エリスからだ。

 種類:光

 戦力:12000

 レベル:80

 HP:5000

 MP:6000

 攻撃力:1000

 防御力:1200

 ユニークスキル:不明

 スキル:メディカルキュア(B)など


 次に瑠夏の精霊、紗南さなだ。

 種類:水

 戦力:13000

 レベル:100

 HP:5200

 MP:2000

 攻撃力:1100

 防御力:900

 ユニークスキル:不明

 スキル:ウォーターブラスト(B)など


 次に心海の精霊、千歳ちとせだ。

 種類:風

 戦力:13000

 レベル:90

 HP:10000

 MP:1200

 攻撃力:6000

 防御力:1800

 ユニークスキル:不明

 スキル:ウインドブラスト(B)など


 最後にアスハの精霊、リーフェである。

 種類:火

 戦力:12000

 レベル:80

 HP:5200

 MP:2000

 攻撃力:6000

 防御力:900

 ユニークスキル:不明

 スキル:ファイヤーブラスト(B)など


 なかなか強いパーティになったのでは。


 っていうか俺が足でまといなのでは……。

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