1.2.2 凪波襲来

 神聖七星位聖剣しんせいしちせいいせいけん


 世界に七振りしかないと言われる聖剣。


 三振りは帝国、一振りは連合王国、一振りは共和国にある。


 二振りは不明である。


 特別な固有スキルを持っており量産剣と比べると強力無比である。


 どのダンジョンで出るかはランダムであり、世界中のダンジョンで探索が続けられている。


 ☆


 俺と瑠夏、一姫は現実世界のマンションでアニメを見ていた。


 ピンポーン。


 そのときチャイムが鳴った。


「宅配かな。俺が出るよ。」


「よろしくお願いします、ご主人様。」


 そう言って俺が玄関に向かう。


「会いたかった……会いたかった!! 兄貴大好きー!!」


 ショートカットの美少女が俺に抱きついてきた。


凪波ななみ、久しぶり。……そろそろ離れてくれるかな」


 彼女の名前は宮内凪波。


 俺の妹である。


 離婚する前、俺には2人の妹がいた。


 優と凪波である。


 優は離婚して母方に付いていったが凪波は俺と同じ父方に付いてきた。


 ちなみに重度のブラコンである。


 俺もシスコンだから人のことは言えないが。


 俺たちはリビングに入る。


「あ、凪波ちゃんだ。久しぶりー」


「はい、瑠夏さん久しぶりです。……この女の子は誰?」


「一姫だ。スマホの精霊だ」


「は?」


「だからスマホの精霊だ」


「ええ……? 兄貴、頭がおかしくなったの?」


 凪波がそう思うのも常識から考えて当然のことであろう。


 俺でさえいまだに半信半疑なのだから。


「いや、信じられない話だと思うけど本当なんだよ」


「詳しい話聞かせてもらってもいいかな?」


「実は先日……」


 俺は最近起こったことを話した。


 コンビニから自宅に帰ったところ美少女がいたこと。


 その美少女はスマホの精霊だと言っていてどうやら本当らしいこと。


 一姫と名付けて同棲することになったこと。


 異世界転移することになったこと。


 コウハ・フォン・フレーデスヴェルクという皇子になったこと。


 瑠夏と再会し再び付き合うことになったこと。


 皇帝家を追放され皇国でコウハ・スカイマークとなったこと。


 シュタットフェルト精霊学園に通うことになったこと。


「ど、どどど同棲!? 異世界!? 瑠夏さんと付き合うことになった!?」


「ああ、信じられないような話だけど本当なんだよ」


「……決めた。私も異世界に行く」


「凪波?」


「兄貴と瑠夏さんが相思相愛だからこっちも身を引いたっていうのに他の女の子と同棲するなんてありえないよ。だから私が監視する必要があるの。もちろん妹として。だから私も異世界に行く。あと毎日、ここに来るから」


「わー、凪波さんも異世界に来てくださるなら心強いです!!」


「いやいやいや、異世界転移しても離れた場所に転移する可能性もあるんだ。異世界は広いんだぞ」


「それでも私は行くよ。そして絶対兄貴を見つけるんだ」


 そんなこんなで凪波も異世界に行くことになった。


 ☆


 異世界。


 シュタットフェルト精霊学園。


「今日はみなさんにお知らせがありまーす」


 担任のリゼ・アストルフォン先生が朝のSHRでそう発言した。


 お知らせ? なんだろ?


「なんとこのクラスに転校生が来ましたー。みんなー拍手拍手。……はーい、入ってきて」


 その女の子は黄緑色のロングポニテをした美少女だった。


結城心海ゆうきここみです。よろしくお願いします」


 結城家。


 三管領家の1つである。


 ちなみに革新派である。


「結城さんはあの席ねー」


 その席とはなんと俺の隣りの席だった。


「はじめまして。私は結城心海です」


「はじめまして。俺はコウハ・スカイマーク。よろしく」


「コウハ……スカイマーク!? 兄貴、兄貴なの!?」


「その呼び方もしかして凪波なのか!?」


「うん。そうだよ。私は宮内凪波だよ。でもこっちの世界では心海って呼んでくれると嬉しいかな。他の人が戸惑うと思うから」


「分かった。心海、よろしくな」


「うん。兄貴、よろしく」


 なんと転校生が妹の凪波だったのである。


 またもや奇跡が起きたのである。

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