第10話 1.1.8 瑠夏と瑠夏
保守派と革新派。
敗戦した皇国では主に2派に分かれることになる。
保守派と革新派である。
保守派は従来の呪装刀で戦う伝統を重んじている。
対して革新派は精霊や聖剣、ダンジョンに強い興味を示し、AFG、現代兵器を積極的に取り入れようとしている。
ちなみに上条家は革新派に所属している。
☆
上条家に預けられて2週間ほど経った頃、俺は現実世界にいた。
現実世界と異世界との接続の切り替えだがこれは睡眠がトリガーとなっている。
寝ることで現実世界と異世界を行き来することができる。
実質、寝てないことになるのだが何故か眠気は出てこなかった。
今日は瑠夏との映画館デートである。
駅前で待ち合わせをした。
隣りに住んでるなら一緒に行けばいいという意見もあるかもしれないがそれだとデートの雰囲気が出ないと瑠夏が言うので待ち合わせにした。
待ち合わせの10分前。
「君、カッコいいね、一緒にお茶しない?」
まさかの逆ナンだった。
「いえ、俺には彼女がいるので」
「1回だけ1回だけでいいから」
「いや、本当に困りますって」
「……お待たせ、コウ君!!」
そう言って瑠夏が右腕に抱きついてくる。
「あの私の彼氏に何の用ですか」
「いえ、すみません」
そう言って女性は立ち去っていった。
「コウ君、逆ナンされるなんて女子かっての……本当気をつけてよね」
「ああ、分かった」
それで俺たちは駅前を歩いて映画館に向かった。
「見てあの人達、美男美女カップルだー」
「イケメンと美少女、画になるなー」
ギャラリーが俺たちを見て話していた。
「何か……嬉しいけど恥ずかしいね」
「そうだな。少し気恥ずかしいな」
今日、俺たちはキミキセの劇場版を見にきた。(俺は5回目。)
キミキセーー正式名称はキミと出会えた奇跡:Reである。
キミキセとは
原作はライトノベルで著者は
2人はアイドルの大会『スターライブ』に1度敗れるがもう一度挑戦するというストーリーである。
2人の成長と友情を描きスポ根要素を含んでいる。
俺は
俺たちは映画を見た後、すぐ近くのカフェで休んでいた。
「あー、面白かったね!!やっぱりキミキセは最高だね!!」
「本当最高だよな。俺なんて5回も見てるのに感動シーンで泣いてるもん」
「ねー、あのシーンは涙無しでは見られないよね。またキミキセの1期と2期見直そうかな?」
「それなら俺の家で一緒に見るか」
「本当!? 嬉しい!! お
そこで沈黙が場を支配する。
「大事な話があるんだけどいいかな?」
「大事な話?」
「私も異世界転移したいなと思って……一姫ちゃんに頼んでくれないかな?」
「ええええ!? マジか!?」
「私は彼女としてコウ君が浮気しないか監視する義務があるのです。異世界でコウ君浮気しないか心配なんだ」
「いや、俺にとって瑠夏は特別だし浮気なんてしないよ」
「今はそうでも将来は分からないでしょ」
「いやいや、俺が好きなのは瑠夏だけだって」
「ふふ、ありがとう。でも私は異世界転移するよ。これは決定事項だから」
その後、帰宅した俺たちは一姫に瑠夏が異世界転移したいと言っていることを話した。
「わー、瑠夏さんが異世界転移するなんて心強いです!! 分かりました。アストレア様に相談してみますね」
数時間後、一姫が戻ってきた。
「アストレア様に相談してみたところ今夜、瑠夏さんの夢に出現してくれるそうです。ただし誰になるのかまでは分からないそうです」
「それだとめちゃくちゃ離れた場所に転移する可能性もあるのか……」
「はい」
「それでも私は行くよ。異世界に。そして絶対コウ君を見つけるんだ」
瑠夏の意志は堅いようだ。
そして俺は今夜も寝て異世界に向かった。
「おはようございます、瑠夏さん」
「……」
返事がなかった。
「あのー、瑠夏さん?」
「……あなたの名前は?」
「え? コウハ・フォン・フレーデスヴェルクですけど」
「コウ君!? 本当にコウ君なの!?」
「その呼び方、もしかして瑠夏なのか!?」
「そうだよー。私は水篠瑠夏だよ」
「マジかよ……」
何という偶然だろう。
瑠夏さんに瑠夏が転移してきたのである。
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