1.1.7 皇帝家追放

 俺と一姫、瑠夏の3人で買い物をした夜。


 また俺は寝て異世界に転移した。


 俺とシルファは皇帝に呼び出されていた。


「単刀直入に言おう。お前たちには皇国の人質になってもらう。明後日には皇国に向かってもらう」


「明後日!?……そんな急すぎます、陛下」


「なお、これは決定事項だ。異論は認めない」


 俺とシルファは有り体に言えば皇帝家を追放されたのである。


 現在、皇国との戦争が噂されていた。


 つまりそんな戦地に送るということは皇帝である父に捨てられたことを意味した。


 自室に戻ってそれを理解すると1つの感情が浮かんできた。


 怒りだった。


「マジふざけるなよ……実の子供を捨てるのかよ、あんたは!!」


 皇位継承権が低いということも今回の皇帝家追放につながったということが頭によぎって余計に苛立たせた。


「ふざけるな……絶対あんたを倒して俺が皇帝になってやる!!」


 そう俺は誓いを立てた。


 皇暦1904年の春のことだった。


 ☆


 皇国。


 世界で1番歴史の古い国。


 武人ぶじんと呼ばれる兵士がいることで有名である。


 武人は呪装刀じゅそうとうと呼ばれる特別な刀で戦う。


 武人社会であり幕府の将軍を筆頭に執権しっけん、3管領かんれい家が皇帝に忠誠を誓っている。


 ☆


 俺とシルファは3管領家の1つである上条かみじょう家に人質として預けられた。


 人質といっても家の中にいるなら基本的に何をしても許された。


 上条瑠夏。


 上条家の次期当主。


 大和撫子というイメージがピッタリのサイドテールの女の子だった。


 呪装刀に興味を持った俺はこの子に剣術を教えてもらった。


 瑠夏さんは現実世界の彼女、瑠夏と同じ名前ですごい偶然で親近感を覚えた。


 顔は別人だが。


 剣術の稽古の後は筋トレをしてシルファと将棋というボードゲームを遊んだ。


 もともと帝国ではチェスを楽しんでいたが将棋はさらに奥が深かった。


 とても平和な時間が流れていた。


 だが彼らの背後に戦争の影がゆっくりとだが着実に忍び寄っていた。


 皇暦1904年、帝国は皇国に宣戦布告。


 戦争状態となった。


 精霊騎士団、AFG、現代兵器を保有する帝国の圧勝だった。


 帝国は皇国を占領統治した。

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