1.1.6 下着選び

 一姫がトイレから戻ってきた。


「あー、一姫、買い物に行く前に言っておくことがある」


「私たち付き合うことになったの!!」


「ええええ!? ご主人様、瑠夏さんおめでとうございます!!」


 一姫は本当に自分のことのように喜んでくれた。


 その後、3人で日用品の買い物をした。


 歯ブラシやコップ、タオル、食器、シャンプーなどを買った。


 シャンプーは瑠夏と同じものを選ばせてもらった。


 女子のシャンプーがどれがいいかなんて分からなかったからである。


 もし俺が同じシャンプーを使えば瑠夏の香りに包まれるのか……。


 なんだかドキドキしてきたぞ。


「コウ君、黙ってどうしたの……? もしかして同じシャンプーだから私と同じ香りに包まれるとか想像した?」


 図星だった。


「う……。な、なんで分かるんだよ」


「え……?鎌かけただけだったんだけど……。ふーん、コウ君のエッチ」


「う、うるせー。ほら、次は服を買うぞ」


 俺たちはショッピングモール2階にあるユニクロに入った。


 ユニクロの店員の人に一姫に似合う服を選んでもらった。


「一姫、似合ってるぞ」


「本当にお姫様みたい……かわいいよ、一姫ちゃん」


「えへへ、ご主人様、瑠夏さん、ありがとうございます。あんまり褒められると照れちゃうよう……」


 次にスポーツショップに入った。


 部屋着用のTシャツとジャージを買った。


 一姫がある一点を見ていることが分かった。


「一姫、テニスに興味あるのか?」


「あっご主人様。……うん、ちょっと興味ある」


「なら俺が教えようか。俺、中高時代テニス部だったから」


「え? いいの? ご主人様」


「全然大丈夫だぞ。ならラケットとシューズも買うか」


「本当にいいの? 結構高いと思うけど」


「お金のことなら心配しなくて大丈夫だぞ」


 俺には仕送りとして毎月10万円銀行口座に振り込まれている。


「私もテニスサークルに所属してるから教えられると思うよ」


「瑠夏さん、ありがとうございます」


 その後、スポーツショップを出た。


「次は下着なんだけど2人で行ってくればいい」


 俺は男だからランジェリーショップにはさすがに入りにくかった。


「何言ってるのコウ君」


「そうですよ、ご主人様」


「この機会にコウ君に下着選んでもらうんだー!!」


「ご主人様に下着選んでほしいです」


 俺は本当にランジェリーショップに入った。


 右も左も女性ものの下着で頭がクラクラしてきた。


 俺以外いるのは当然女性客だけでアウェー感がやばかった。


 俺の目の前を胸の大きい女性が通り過ぎていった。


 うおっ……デカいな、Jか?


「コウ君どこを見てるのかな?」


 瑠夏の笑顔が怖かった。


「いや、その……ごめん」


「私以外の女をじっと見つめるなんて浮気だからね。気をつけてよね。……コウ君どっちの下着がいいかな?」


 どっちもほぼ紐だった。


 どっちを選ぶのが正解なんだ!?


「……み、右かな」


「そうなんだ、試着するね」


 試着室のカーテンから一姫が顔だけ出してきていた。


「ご主人様ー!! ブラ、ブラの付け方分からないよー!!」


 そういえば一姫はブラジャーをつけるのが初めてだったな。


「分かった分かった。俺がつけるの手伝うから待っててくれ」


 とはいえ、俺もブラジャーをつけるなんて初めてだった。


 一姫と同じ試着室に入る。


「……つ、つけるぞ」


 俺は初めて触るブラジャーに緊張していた。


 一姫はボンキュッボンとしたスタイルでまるでグラビアアイドルのようだった。


 ……こ、こうか?


 なんとかブラジャーのホックを留めることが出来た。


「ありがとう、ご主人様!!」


「このまま買おうか。またつけるの面倒だし」


「うん」


 その後、一姫の試着室を出た。


 瑠夏が試着室から顔だけ出してきていた。


「着替え終わったよー。コウ君見て見てー」


 それで瑠夏の試着室に入る。


「どう? どう? エロい? エロい?」


 ほぼ紐で瑠夏の豊満な胸や尻がほぼ丸見えだった。


「ああ、好きだ、瑠夏」


「いきなり何? コウ君、私の方がずっとずっと大好きなんだからね!!」


「いやいや、俺の方が好きだし愛してるぞ」


「いやいや私の方がって……あはは、私たち必死すぎ。相思相愛ってことだよね。嬉しいな」


「そうだな」


 その後、俺たちは3人で帰った。


「2人は同棲してるの?」


「ああ、昨日からな」


「ふーん、ちなみに昨日の夕食は?」


「カップ麺だけど」


「一昨日は?」


「カップ麺……」


「このままだとコウ君の栄養が心配だよー。……決めた私が隣に住む」


「え?」


「隣空き部屋だったよね。今年から一人暮らし始めようと考えていてならいっそのことコウ君の隣に住もうかと思って。毎日料理作ってあげるね」


「マジか!? 瑠夏の手料理を食べられるのか!? ありがとう!!」


 高校時代、俺は瑠夏に手作り弁当を作ってもらっていて絶品だった。


「いえいえ、これからよろしくねー」


 翌日、本当に瑠夏が隣りに引っ越してきた。

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