第6話 1.1.4 精霊召喚
神聖フレーデスヴェルク帝国。
もともとは西大陸の一部でしかなく魔獣が西方諸国に来ないよう食い止めるための防波堤のような国だった。
だが、今の皇帝(コウハの父)になってから魔王を討伐し魔獣の脅威を退け、東方にルシア遠征を行い東方生存圏を確立した。
今では帝国主義国の1つとして積極的に領土拡大政策を進めている。
今では西大陸の半分と東大陸の半分を支配する大帝国となった。
皇暦1903年。
帝国は植民地政策でエールラント連合王国、ギルティア共和国に完全に乗り遅れていた。
連合王国と共和国は海外に大量の植民地を保有してブロック経済を形成していた。
帝国は大恐慌から回復出来ておらず不況だった。
その起死回生の一手として目をつけたのがルグレシアだった。
ルグレシアは石油や金が大量にとれたのである。
その豊富な資源がのどから手が出るほど欲しかった帝国は永世中立国であるルグレシアに宣戦布告した。
精霊騎士団の保有していない辺境の野蛮な国家だと当初は楽観視していた。
精霊は火、水、風、光、闇の普通精霊と特殊精霊に分かれる。
ちなみに一姫はスマホの精霊なので特殊精霊だ。
この精霊騎士団の強さが国力と比例するそれが常識だった。
帝国は第1から第9までの精霊騎士団を保有しており超大国だった。
だがその常識が覆ったのである。
なぜならルグレシアは現代兵器を保有していたからである。
開戦からまもなく通常戦力である艦隊が壊滅した。
帝国が地球における第2次世界大戦レベルの戦力だったのに対しルグレシアは22世紀レベルの戦力だったのである。
その戦力差は筆舌に尽くしがたかった。
3個の精霊騎士団は必死に戦った。
防御結界を張る精霊を前面に出し攻撃型の精霊を後衛に配置し各個撃破を狙った。
が、上手くいかなかった。
まず射程距離が違いすぎた。
相手がミサイルや艦砲射撃してくるのは精霊騎士団からはるか遠方で精霊の攻撃が当たらなかった。
次に戦闘機である。
帝国軍がプロペラ機だったのに対しルグレシア軍はジェット機だった。
帝国の航空戦力は誘導ミサイルによって壊滅した。
最後にAFG《アームドフレームギア》と呼ばれる魔導装甲である。
これはエルクロイド粒子がエネルギーの魔導装甲である。
これによって精霊騎士団の3分の2が戦死、3分の1が前線基地ジアストポリ島に命からがら撤退した。
その後、ジアストポリ島が空爆を受け帝国はルグレシアに敗戦した。
帝国はその後、講和条約をルグレシアと結んだ。
30億ティーゼの賠償金を支払うこと、精霊に興味を持ったルグレシアから同盟国となること、ジアストポリ島から撤退することが条件だった。
同盟国となることでルグレシアの高度な科学技術が輸入された。
スマホに宇宙開発技術、インターネット、高速鉄道、AFG、現代兵器その他諸々が輸入された。
代わりに精霊とダンジョン、聖剣に関する技術を輸出した。
ルグレシアの支援により帝国は驚異的なスピードで軍隊を現代化させることに成功した。
精霊に現代兵器、まさに鬼に金棒となった帝国が世界征服を始めるのも時間の問題と噂されていた。
目的だった資源は手に入らなかったがそれ以上の価値のある技術を手に入れることができ世論の支持は高かった。
高い支持率を背景に帝国はさらに領土拡大政策を進めることとなった。
☆
「コウハ様、今日は精霊召喚の儀を行います」
「精霊召喚の儀?」
「はい、コウハ様の精霊を召喚して1人前の精霊騎士となってもらいます」
これで一姫が召喚されるのかな、そう思った。
精霊召喚の儀が行われた。
案の定、一姫が召喚された。
「会いたかった……もう会えないのかと思ったよ、ご主人様」
「久しぶり、一姫。よく俺だと分かったな」
「アストレア様にご主人様の元に召喚されるよう調整してもらったから……。でもご主人様の元に無事に合流することができて良かったよ」
「……終わりましたか、コウハ様。おめでとうございます。見たところ特殊精霊のようですね。ステータスウィンドウを開いてみてください」
「……どうやってステータスウィンドウを開くんだ?」
「え……? スマホのアプリで開くことができますよ」
言われた通りにしてみる。
ステータスウィンドウというアプリがインストールされていた。
そしてステータスウィンドウを見てみる。
種類:スマートフォン
戦力:2000
レベル:1
HP:1800
MP:1000
攻撃力:150
防御力:120
ユニークスキル:不明
スキル:剣術(E)
「スマホ!? 何とも現代的な精霊ですね。……改めておめでとうございます、コウハ様」
「ありがとう」
俺はアスハに礼を言った。
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