第5話 1.1.3 コウハ・フォン・フレーデスヴェルク
俺は見慣れない天井を見て目を覚ました。
異世界転移が成功したらしい。
「お目覚めになられましたか? コウハ様」
メイド姿のお姉さん(黒髪ロングの美少女)が話しかけてきた。
十三国戦記で見たことあるぞ。
主人公の1人であるコウハのメイド、アスハ・フォン・シュタットフェルトだ。
シュタットフェルト公爵家の令嬢だが皇室に仕えコウハのお世話係をしているという設定だ。
つまり、俺はーー。
「コウハ様、洗面所でお顔を洗いませんか?」
「ああ、分かった」
そこで鏡を見た。
そこには10代のまだ幼さの残るイケメンの少年がいた。
コウハ・フォン・フレーデスヴェルク。
それが俺の名前だった。
神聖フレーデスヴェルク帝国第6皇子である。
魔王討伐によって勇者として名を馳せ、何十回もの戦争で勝ち続け英雄となるが第1次世界大戦で戦死するという設定だ。
いきなり死亡フラグがあるんだけど。
「質問なんだけど俺って何歳だっけ?」
「……はい? 14歳になられますけど」
14歳。
第1次世界大戦があるのは10年後らしい。
この10年で戦死するという死亡フラグを回避しなければならないらしい。
タイムリープ能力でこれを回避できるだろうか。
ここで俺にはやらなければならないことができた。
タイムリープ能力の実験である。
俺は目をつむりタイムリープと念じた。
「お目覚めになられましたか? コウハ様」
目を開けると10分前と全く同じ言葉を一言一句間違わずに言うアスハの姿があった。
念じたのは10分前にタイムリープだったので成功したようだ。
アストレア様ありがとう。
服を着替え、俺は食堂に向かう。
そこにいたのはーー。
「おはようございます。お兄様」
シルファ・フォン・フレーデスヴェルク。
コウハの異母兄弟で妹である。
神聖フレーデスヴェルク帝国第7皇女である。
コウハの勇者パーティに入り一緒に魔王を討伐するという設定だ。
母は違うが年が近かったので仲良くしていて昔から懐かれていた。
あと茶髪ロングの美少女だ。
「ああ、おはよう、シルファ」
他の兄弟姉妹は第2次バルハート戦争、
皇帝は私室で1人で食べるので滅多に食堂に顔を出さない。
そのため食事はコウハとシルファの2人だけである。
広い部屋に2人だけというのは寂しいと感じた。
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