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「おばあちゃん、ハルちゃんがいたよ!

 キツネのお面の男の子が…ボクを助けてくれたんだ」

 爽は、おばあちゃんに向かって言うと、

「あのお面は、どうしたの?」

おばあちゃんは、静かな顔をして聞く。

「えっ?」

 そうだ、あのお面…どうしたっけ?

確か、持って行ったはずなのに…

「ない!

 どこに落としたんだろう?」

 おかしいなぁ~

頭をひねる爽を見て、おばあちゃんが笑う。

「きっと、あの子の手に、戻ったんだよ」

そう言うと、ポンと爽の背中に手を置く。

 すでに、おばあちゃんの身元を追い越した爽だ。

だがおばあちゃんは、小さな子供にするように、ポンポンと

爽の背をたたく。

「ハルちゃんに、お礼を言わないとね」

おばあちゃんは、にこやかにそう言う。

「ハルちゃん?」

 まさか、あのお社の中に、また入るの?

さすがに、爽は後ずさりをする。

 おばあちゃんは、あはは…と笑うと、

「あそこじゃなくて、こっちだよ」

そう言うと、爽の手を引いた。


 ゾロゾロと、爽とトモヒロとオジサンを引き連れて、

おばあちゃんは無言で階段を下りる。

「いい祭りだったねぇ~

 これで、今年もいい年になりそうだ」

満足そうに、おばあちゃんが一人、つぶやく。


「ここだよ」

 連れて行かれたのは…階段の下にあるお稲荷さんだ。

「ここ?」

戸惑う爽に向かい、おばあちゃんはうなづく。

「ほら、あそこ、見てごらん!」

キツネの足元を指し示す。

そこには、キツネのお面と、ハルちゃんの写真が落ちている。

「あの子…弟と一緒に、行ったんだねぇ」

ニコニコしながら、おばあちゃんが言う。

「弟?」

「そう、ハルちゃんの弟だ」

「あの…キツネの男の子?」

「そう、草ちゃんだよ」

 草ちゃん?

爽はハルちゃんの写真を見つめる。

その時、どこかから、

「ありがとう」と声が聞こえたような気がした。


 夜明けの晩に、つると亀がすべった。

 後ろの正面、だぁれ…


        完


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キミをさがして… daisysacky @daisysacky

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