10
「どういうこと?」
オジサンが言うことが、爽にはわからない。
「たぶん…あの子が、ソウを助けてくれたんだなぁ」
ニコニコしながら、ご神木の方を指差す。
「なに?」
爽は、かがり火の方を向く。
「今日はお祭りだ。
ばあちゃんが…爽の名前を書いた人型を、あのご神木につけたんだ」
そう言って、その木を指し示す。
「へっ?」
確かに、つけたはずだ。
トモヒロは、何かに気が付いたように、ご神木の方に近づく。
「えっ?」
ご神木の上の方には、鬼のお面がつるされている。
木の幹には、白くて太いしめ縄が張られている。
そこに貼り付けたはずの、あの白い紙が…
「ない」
思わずつぶやく。
「えっ?ないって、何が?」
爽には、さっぱりわからない。
「あぁ、ソウ!おかえり」
おばあちゃんは、少しも慌てた様子もなく、まるで当たり前の
ようにうなづく。
「おばあちゃん、何でここにいるの?」
てっきり家にいる、と思っていたのに!
「決まっているだろ?
今日は、お祭りだよ」
そう言うと…
「おじいちゃん、守ってくれたんだねぇ」
鬼のお面を見上げる。
爽には、何が何だか、まだよく呑み込めないけれど…
おばあちゃんが笑うのを見ていたら、そうなのかもしれない…
と思う。
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