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(あっ)

 トモヒロは何かに気が付くけれど…声に出しては言わない。

横を見ると、オジサンもじぃっとその子を見ている。

 その男の子は、トトト…と、社に近付いて行く。

ドンドンドン!

扉をたたく。

(あっ、あれ)

トモヒロは、オジサンに目で合図する。

オジサンも黙って、うなづいている。

 その男の子は、バンと扉を開け放った時…

キツネのお面を、かぶった女の子と爽が立っているのが、目に入った。

「ソウ!」

たまらずトモヒロは、爽に向かって、走り出して行った。



 一体、何があったのだろう?

確かに目の前には、オジサンとトモヒロがいた。

「ソウ…おかえり」

トモヒロがいきなり、飛びついて来た。

「あれ?あの男の子は?」

キツネにつままれた思いで、トモヒロに尋ねる。

「男の子?」

 なんのこと?

トモヒロは、ポカンとした顔をする。

「さっきの子だよ! 

 今、入れ違いに入った男の子」

そう言うけれど…

トモヒロははっ?という顔をする。

(あれっ?)

 なんで?

「小さな男の子だよ!

 扉を叩いていた男の子!」

ムキになって、トモヒロに言う。

「何を言っているんだよぉ~

 そんな子は、いなかったぞ」

トモヒロは、オジサンの方を振り向く。

「それって、あの写真の男の子か?」

オジサンは、真面目な口調で、爽に聞く。

「あっ、そうだったのかもしれない…」

 何しろ、ほんの一瞬のことだ。

よく顔を、確かめたわけではない。

「やっぱり、そうかぁ~」

なぜかオジサンは、一人納得していた。

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