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「ノリヒロ、そんな所で、何をしているの?」 

 社の外に閉め出された、オジサンとトモヒロを目にすると、

おばあちゃんは声をかける。

「丁度いいわ!

 あなたたちは…このお面を、クスノキにつけて!」

テキパキと、指示をするその姿は、若い頃の姿を彷彿とさせた。

「これって…あのお面?」

トモヒロが、おばあちゃんを見つめる。

「そう…おじいさんのお面よ」

かがり火の下で見る、鬼のお面は、いつもの倍以上に、迫力がある。


 段々と人が増えてくる。

どうやらおばあちゃんが、声をかけたようだ。

「さぁ、中の二人に聞こえるように、盛大に踊ってちょうだい!

 爽に届くように」

リンとした声で言い放つと…

鬼のお面をかぶった男衆たちが、笛の音にあわせて、踊り始めた。


「あなたたちは、これ! 

 しめ縄につけて」

 立ちすくむトモヒロに向かって、おばあちゃんは白い紙を手渡す。

「これは、なに?」

白い人の形をかたどった紙だ。

「これは、依り代(よりしろ)といって…

 その人の代わりに、災いを受け取ってくれるものなのよ」

 その紙には、爽の名前が黒々と書いてある。

「早くあの縄に取り付けて」

言われるままに、クスノキの幹に、張り巡らされてある縄に、

巻き付ける。

 宮司がかがり火の前で、祝詞を

を読み上げている。

トモヒロとオジサンは、黙ってその後ろで手を合わせる。

そこに、いつの間にか、クスノキの陰から、キツネのお面をかぶった

男の子が現れた。


 

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