2
以前来た時とは、すっかり何かが違って見えた。
もちろん建物に外観も、周りの樹木も変わらないのだが…
その場所のまとう空気が、なぜかヒヤリと、寒々しいものを
感じる。
「えっ?どうなっているんだ?」
思わず爽は、腕をさする。
8月だというのに、気温はむしろ蒸し暑いというのに…
この悪寒は、一体何なのだろう?
思わず全身が、粟立つのを感じる。
たじろぐ爽に気が付くと、
「ソウ…どうした?」
トモヒロは声をかける。
「いや…何だか…前と違う」
息苦しいくらいだ。
蒼ざめる爽を見ると、
「あぁ~たしかに、そうだな」
オジサンが、爽の肩に手を置く。
「おそらく…ハルちゃんが、来ているのだろう」
だが、トモヒロだけは、
「えっ?そう?
全然変わって見えないけど?」
ケロッとしている。
体質の違いなのだろうか?
「トモヒロ…何も、感じないのか?」
「あぁ、何となく暗く感じるだけだ」
きっと、自分は神経質になっているのだろう。
「緊張しているんだよ」
ごまかすように、爽は言う。
「大丈夫だよ」
明るく言い切るトモヒロに向かって、
「お面は、持っているか?」
確かめるように、声をかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます