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「あれ?これ、あの家にあった写真じゃあないかぁ。
持ってきたのか?」
オジサンの反応も、やはり爽と同じだ。
「これは、ソウのポケットに入っていたんだ。
もしかしたら爽が、タンスに入った時に、まぎれ込んだのかも
しれないなぁ」
ゾッとした顔つきで、トモヒロは爽を見る。
「おまえ…ハルちゃんに、何かしなかったのか?
あの子…もしかしたら、おまえに…何かして欲しいんじゃあ
ないのか?」
ユウレイを信じないトモヒロは、急に真剣な顔つきで、爽に向かって
そう言う。
「何かって…何だよ」
爽にしたって、具体的に言われたわけではない。
ただ…最初はアヤフヤだったハルちゃんの存在が、よりクリアに
ハッキリとしてきたのは確かだ。
(段々あの子に…近付いてきているのか?)
それは…祭りが近いせいなのかもしれない。
爽は、心の中でそう思う。
「本当に行くのか?」
車を止めて、オジサンが爽の方を振り返る。
「あぁ~行くしかないだろ?
このままだと…他に犠牲になる子が、現れるかもしれない」
勝手に口走っていた。
爽は自分自身、何を言っているんだ、とあわてる。
(ダメだ…段々あの子が…ボクに近付いてきている)
このままだと、どうなってしまうのか?
爽は、そのことに気付いて怖くなる。
(もしかして…戻りたくても、戻れなくなるのかもしれない)
爽はジワジワと、焦りを感じる。
ハルちゃんの目的は、何なのか?
そのことに、心当たりはない。
(ハルちゃん…どこにいるんだ?)
このままだと、自分が呑み込まれてしまう…
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