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「えっ?」
ずいぶんな深読みだ。
「そうなのかなぁ?」
あの女の人が、そんなことを考えているなんて…
爽にはとても思えない。
「ソウってば…ホント、お人好しだなぁ」
言いにくいことを、ズバッと言って、トモヒロは呆れた顔をする。
「だから…このお面を託したのかもしれないなぁ」
机の上には、例の鬼のお面が置いてある。
「こんなものがあるから…そういう夢を見るんじゃないかなぁ」
じぃっとお面に目を当てると、ボソリとそう言う。
「あぁ~なるほど」
そう言われたら、そうかもしれない…
これには、爽は納得する。
木彫りのかなり険しい顔のお面だ。
よく見ると…かなりリアルな顔付きだ。
「これににらまれたら…
かなり怖いんだろうなぁ」
「確かに、そうかもなぁ」
おそらく、壁に飾ってあったら、それこそ縮みあがってしまうのかも
しれない。
「このお面…何のために、作られたんだろうなぁ」
爽は、元の持ち主に思いをはせる。
「うーん、踊りとか?
それとも狛犬さんみたいに、番人の役目だったとか?」
思いつくままにそう言うと、あらためてそのお面を、じっくりと見つめる。
すると心なしか…そのお面と、目が合ったような気がした。
そんなことが、あるわけがない…と思うけれども。
「おはよう、眠れたか?」
当たり前だけど、下に下りたら、ノリヒロオジサンがすでに起きていた。
「おはようございます」
トモヒロは早速、ペコリと挨拶をすると
「おばあさんは?」
スッとそう聞く。
「おっ」
オジサンは意外なことを聞いたように、目を見開くと
「今、朝ごはんを作っているよ」
にこやかにそう言う。
「へぇ~大丈夫なの?」
昨日見た、おばあちゃんの姿を思い出す。
「えっ?大丈夫だよ」
オジサンは、平然として答える。
「いつも通りにするのが、一番いいんだ」
オジサンの言葉に…そういうものなのかなぁ~と、爽は不思議に思う。
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