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「へぇ~」
「笑っている、みたいな?」
「笑う?」
「目元が!」
何か心当たりがあるのか、オジサンが爽の顔をのぞき込ん
で言う。
「え~っ、どうだろうなぁ」
他のキツネのお面が、どんな顔をしているかなんて、わからない。
ギョロリとした大きな目をしたお面しか、知らないのだけど。
「おかっぱ頭の子だった」
爽は一生懸命、思い出そうとして言う。
「おかっぱ?」
「そう」
オジサンの目を、爽はじぃっと見詰めて訴える。
「いるかなぁ~オカッパの女の子って」
今どきねぇ~
さっきから、何を言っているんだ、とトモヒロは呆れた顔をして、
爽を見る。
「オフクロが、知っているかなぁ」
さっきはあてにならない…と言っていたオジサンも、ブツブツと
何ごとかつぶやいている。
「どうしたの?それって、夢の話だろ?」
おい、大丈夫かぁ?
トモヒロは、笑いながら爽を見る。
「そうだなぁ~この近所では、そういう子って、見ないけどなぁ」
しきりと頭をかしげるけれど。
オジサンは、真剣な顔をしている。
爽はハッと気が付くと、
「それよりも…このお面、どこに返したらいい?」
あわてて付け足すようにして、オジサンを見る。
「お面?そうだなぁ~明日、神社に行ってみるかぁ」
誰かいたっけ?
またも考え込みながら、爽に答える。
「まずは、神社かぁ~」
「図書館も!」
トモヒロが付け加える。
「あっ、そうだな」
オジサンがトモヒロに向かって、
「ナイス」と親指を突き立てる。
「これは、忙しくなるぞぉ」
明るくそう言うけれど、オジサンは少しも、迷惑そうな
顔をしない。
「ごめんなさい。仕事は大丈夫ですか?」
ハッと気がついて、トモヒロがオジサンに声をかける。
「大丈夫!出来るだけ、協力するよ」
探し物が、見つかるといいなぁ~
ポンと、爽の肩をたたいた。
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