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「じゃあ…キツネのお面の女の子って、知ってる?」
つい爽は、言葉をもらす。
「えっ?」
一瞬オジサンの目が、キョロキョロと動く。
「ボク…キツネのお面の女の子に…会ったことがあるん
じゃあないの?」
思わず、一番気になっていたことを、口走っていた。
「キツネのお面?」
誰のことだ?
オジサンは、ポカンとした顔をする。
「そう、キツネのお面の女の子のことを、探しに来たんだ」
トモヒロが、ついでのように口を挟む。
「あっ」
「おい!」
絶対に、夢の女の子を探している…なんて、オジサンは信じて
くれないだろう…と思っていた。
「キツネのお面って、どんなお面?」
オジサンは、からかうことなく、真面目に爽に向かって聞く。
「どんなって?」
「プラスチックのお面?
それとも木彫り?古いお面?」
「えっ?白くて、手書きのお面…だと思う」
さすがに、爽には自信がない。
何しろ少し前に、見た夢だからだ。
印象的だった部分は、頭に焼き付いているのだが…
あの手紙の主と、同一人物だ、という保証はない。
(だけど、きっと…あの子だ)
なぜだか爽は、そう思っている。
直感としか、いいようがない。
(あの子がきっと…会いに来てくれ、と言っているんだ)
半ば、そう信じ込んでいるのだが…
さすがにそれは、トモヒロには言えない。
きっとバカにされる…と思うからだ。
「白くて、手書きのお面かぁ~」
もしかして、和紙か?
オジサンは、しばらく考え込んでいるようだ。
そうだ…
爽は思い出す。
「お稲荷さんみたいに、怖い顔をしていなくて…
とっても穏やかな顔をしてた…」
ポツンとそう言った。
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