22

(やっぱり、何かあるのか?)

 ますます気になるけれども。

すると背後で、スゥ~ッとふすまが開く音がする。

「あら、ソウ!そのお面はどうしたの?」

声をかけられた。

「えっ」

 オジサンはギョッとした顔で、振り返る。

だがばあちゃんは、ニコニコしたままで、

「ちょっと貸して」

すぃっと、骨ばった手をこちらに向ける。

「おい、寝てなくてもいいのか?」

慌てた様子で、オジサンは立ち上がる。

だがばあちゃんは、「いいから、いいから」とやけにハッキリと

そう言うと…

「見せて」

さらに手をグィッと、突き出す。

「いいの?」

 爽はためらいがちに、オジサンを見上げる。

「しょうがないだろ」

オジサンは、はぁ~とため息をつく。


「あらまぁ、懐かしいわねぇ~」

 おばあちゃんの反応は、オジサンとは全く違うものだった。

「あっ、知っているの?」

「ご存知なのですか?」

爽とトモヒロの声が重なる。

「あらっ!」

 おばあちゃんは、二人を見て、クスクス笑う。

「もちろん、知っているわよぉ。

 これは…おじいちゃんとの出会いのキッカケになったお面だもの」

「え~っ、そうなの?」

「ばあちゃん、ホント?」

オジサンも、そのことは知らなかったのか…

思わず声を上げた。


「えっ?そうよ!ノリヒロは知っているでしょ」

 おばあちゃんは、むしろ、みんなが知っている…と思い込んで

いたようだ。

「えっ、まさか!」

オジサンはすぐに、否定する。

「だって、これは…あそこにおさめられているはずだろ」

おばあちゃんに向かって、言い返す。

「えっ」

爽もトモヒロも、想定外の話に、言葉を失う。

「あっ、ちょっと」

 二人の様子を見て、オジサンはあわてる。

「違う、違うよ!

 ボクは…キミたちのことを、疑ってなんかいないからね!」

すぐに、弁解するように言う。


 

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