21

「そのお面、どうした?」

 早速オジサンが、顏をしかめる。

母さんと、まったく同じ反応だ。

「えっ?オジサン…これを知っているの?」

爽が思わず食いつく。

「知っているも何も…

 おまえ、何でこのお面を持っているんだ?」

まるで爽が、どこかから盗ってきたかのような顔をする。

「違うよ、違う!

 実はこれ…誰かが、ボクの家のポストに入れたんだ!」

爽はありのままに話す。


「えっ、ソウ…」

 話してもいいのか?

トモヒロは、爽の腕を突っつく。

「大丈夫!オジサンは…ベラベラと言いふらすんじゃあ

 ないんだから」

キッパリと、爽が言う。

「ね!」

 オジサンの方を向く。

オジサンはまだ…納得していないようだけども。

「あぁ…」

渋々うなづいた。

 そうして爽の手から、例の鬼のお面を手に取る。

「だけど…何で、ソウの所に?」

まるで呪われたように…爽をじぃっと見る。

「知らないよ!

 ボクはこれを、返しに来たんだ」

そう言うと…

「なるほど」

ようやくオジサンは、真顔になった。


 だが…爽には、気になることがある。

何で、オジサンも母さんも、同じような反応をするのだ?

ふいに不安になる。

「ねぇ、オジサン…

 このお面を持っていると、何かあるの?」

 あまりにも、非科学的なことを言う。

「ちょっと、ソウ!」

おまえ…おかしいぞ、とトモヒロは止めるけれども。

オジサンは、大きく目をギョロリと向けると

「いや、お面自体に、問題があるわけではないんだが…」

なぜか、言いにくそうに、口をモゴモゴとさせた。


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