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「オジサンに見てもらいたいのは、これなんだ」
じいちゃんの家に到着すると、早速爽はオジサンに声をかける。
「えっ、なに?お土産か?」
わざわざすまないねぇ~
ニヤニヤしながら、ノリヒロオジサンは爽を突っつく。
「そうじゃないってばぁ」
「なんだ?土産はなしか?」
当てが外れた顔をするオジサンを見ると、
「なんだよ、オジサン!子供だなぁ」
ヘラヘラと爽は笑う。
そんな爽を見ることは、レアなので、トモヒロもニヤニヤしながら、
二人のやり取りを見ている。
「いいけど~中に入ってからで、いいか?」
駐車スペースに車を止めると、ポンポンと爽の頭を軽くたたく。
「うーん…あんまりおばあちゃんには、見せたくないんだよなぁ」
何となく、もの言いたげな顔をして、爽はオジサンを見上げる。
「なんだよ」
どうやらオジサンは、何か勘違いをしたものか、
「お前、大人になったんだなぁ」
ニヤッと笑うと、肘で爽を小突く。
「違うよ、違うってばぁ」
車の中で、いちゃつくようにしている二人を見ると、トモヒロは
「仲がいいなぁ」と呆れる。
「まるで、兄弟みたいだ」
さっさと車を降りる。
「兄弟だってさ!」
何だかオジサンは、とても嬉しそうだ。
「ばかだなぁ」
爽は呆れた顔をする。
「年甲斐がなく、ガキだ、と言われているんだよ」
さっきの仕返しだ…と言わんばかりに、トンとオジサンの背中を押す。
「なにおぅ~」
ははっ!
爽はケラケラと笑うと、車から飛び出す。
久し振りに見る、じいちゃんの家を見上げて、こんなだったっけ?と
あらためて思った。
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