16

「そうか?」

「そう!」

「おまえ…田舎に来たことはないのか?」

「あるけど…ここまでではない」

「そうかぁ~悪かったなぁ」

 とりあえず、誰もいない改札口を抜けて、

「切符は、どうするんだよ」

文句を言うトモヒロを引っ張って、表に出る。

そこには、見覚えのある人が立っていた。


「やぁ~ソウ!久しぶりだねぇ」

 迎えてくれたのは、母さんの弟のノリヒロオジサンだった。

「あっ、わざわざ来てくれたんだぁ」

ニコニコしながら、オジサンは二人の荷物を受け取る。

じいちゃんの葬式以来だけど、オジサンは少しも変わっては

いない。

「お世話になります」

トモヒロは珍しく、丁寧に頭を下げる。

「これは、友達のトモヒロ」

あわてて爽は、オジサンに紹介する。

「ソウの友のトモヒロ君かぁ」

なぜだかオジサンは、ケラケラと笑う。

「な、変なオジサンだろ?」

トモヒロが変に緊張していないか、と爽は気にしている。

「何を言っているんだ。普通だろ?」

トモヒロが変に緊張していないか、と爽は気にしている。

「何を言っているんだ。普通だろ」

ヘラヘラと笑いながらも、オジサンは真っ黒に日焼けした

腕を差し出した。

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