15
(どういう意味だ?)
まさかトモヒロは…あの女の子がいないとでも、思って
いるのか?
それはずっと、爽も引っかかっていた。
実在する人物なのか?
それとも、この世には存在しない人物なのか?
(まさか…キツネに化かされたとでもいうのか?)
それはそれで、あまり気分のいいものではないけれど…
確かに、夢の中では、キツネのお面をつけていた。
「そんな顔をするなよ」
トモヒロが、黙り込む爽の顔をのぞき込む。
「そうじゃなく、見つかったら、それでいいじゃないかぁ」
案外、本当に美人だったらどうする?
トモヒロは、ヘラヘラと笑う。
「トモヒロ、おまえ!
カワイ子ちゃんだったら、さっさとLINE交換するつもり
なんだろ?」
ホント、おまえは抜け目のないヤツだなぁ~
さっきから、ガラガラの車内で、二人の大きな声で、ゲラゲラと
笑った。
目的の駅に降り立つと、それが無人駅だった。
「うわぁ~ずいぶん、田舎なんだなぁ」
珍しそうに、トモヒロが辺りを見回す。
あまりここにここに来たことはないけれど、相変わらずひなびた
町だ。
降りたのも、やはり二人だけ。
ガランとして、乗る人もいない。
「悪いなぁ~何にもない田舎で」
トモヒロの顔色をうかがうように、爽が話しかけると、
「いやぁ~すごいなぁ!
ザ、田舎って感じでさ!」
楽しそうに、トモヒロが声を弾ませた。
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