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「ホント、あんたって、変わっているわねぇ」

 あんな田舎に、何で行きたいのかわからない…

母さんは、呆れた顔をする。

だがすぐに…

「あんたって…おじいちゃん子だったもんねぇ」

お葬式の時に、誰よりもピーピー泣いて、みんなを驚かせて

いたのは爽だった。

 それを思い出して、

「ホント、あなたって、変わった子ねぇ」

仕方がないわねぇ~

苦笑いを浮かべる。


「おまえの母さん、よく折れてくれないかなぁ」

 約束の日、トモヒロはニヤニヤしながら、爽の顔を見る。

「そりゃあもう、可愛い息子の言うことだからねぇ」

ヘラヘラしながら、言い返すと…

「どこが、可愛い息子だよ」

トモヒロが、プッと吹き出す。


「おい、あれ、持ってきたか?」

 駅の改札口を抜けると、トモヒロが爽に向かって、確かめる。

「もちろん、あれだろ?持ってきたよ」

出そうか…とリュックの蓋を開けようとすると

「ここでは、いい!

 何事か、と思われるだろ」

あわててトモヒロは、ささやいた。

あれからもしかして、手紙の主が現われないか…と、一応見張って

いたのだが、結局は誰も現れなかった。



 

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