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「人聞きの悪いことを言うなよぉ」

 自分の息子だろ?

「で、知ってるの?」

じぃっと、母親を見る。

「そっ」

素っ気なく返すと、母さんはあらためて、そのお面に目をおとす。

「相変わらず、気味が悪いわねぇ」

早く、しまいなさいよ。

まるで、見るだけで呪われてしまう…というような反応をして、

サッと爽に押しやる。


「拾ったって、どこで?」

 眉間にシワを寄せて、爽をじぃっと見詰める。

(やはり、何かあるんだ)

まるで、不幸の手紙とか、髪が伸びるお人形とか、手にするのも

イヤだ…という表情だ。

「うちの近くで」

そう言い返すと、

「やだわ」

あからさまに、キュッと眉をしかめる。

「一体、何があるの?」

(何だか…ヤバいものなのか?)

 まがまがしいものを見るように、母さんは顔をそむける。

話題にするのも、嫌だと言いそうな顔つきだ。

「やっぱりこれって…じいちゃんの村に、あるものなんだね?」

とにかくこれだけは、ハッキリさせないといけない。

だが母さんは、目をそむけたまま、

「知らないわよ」

ブスッとしたまま、そう答えた。

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