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「何よ、これ」

 すぐに母さんの顔色が変わる。

爽からひったくるようにして、例のお面を手に取る。

「どうしたの、これ…

 どこから、取ってきたのよ」

完全に、自分の息子を盗っ人呼ばわりだ。

「ちょっと!人聞きの悪いことを、言うなよぉ」

母さんの暴言に、爽は心底、ウンザリしている。

「それは、いいから!」

さっと奪い返す。

「これ、実は拾ったんだけど…

 これって、じいちゃんの所で、見たような気がするんだけど…」

面倒なことになりそうなので、この場合は拾ったということにする。

(まさか、知らない女の子に、ポストに入れられた…なんて言っても、

 おそらく信じてくれないだろうなぁ)

 案の定、母さんは爽の顔をのぞき込み、

「それって、ホント?」

やはり、疑っている。

(ボクって、ホント、信用がないなぁ)

ひそかに、傷付いた。


「で、どうなの?」

 母さんの言葉に、気持ちを切り替える。

ここは、腕の見せ所だ!

出来るだけ、母さんからの情報が欲しい…

注意深く、母さんの顔色をうかがう。

(もしかして、何か知っているのではないだろうか?)

爽は、そう踏んでいた。

「そうねえ」

やはりにらんだ通り、何か考えているようだ。

「ねぇ、これ…ホントに、どこから取ってきたのよ」

しつこくまだ、疑っている。

「だから、取ったんじゃなくて、拾ったんだってば!」

言い返す爽に向かって、母さんはジロリとにらみつける。

「そもそもこれは…落ちているわけがないのよ」

怒るどころか、みるみる青ざめているのが見てとれた。

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