6

「実はトモヒロ…じいちゃんの村に、行ってみたいと言うんだ」

 トモヒロ、ごめん!

爽は心の中で、そう思う。

だが母さんは、トモヒロには比較的、好感を抱いているようだ。

「あら、そうなの」

ブツブツ言いながらも、それ以上、余計なことは口に出さない。

(ちぇっ、要領がいいヤツは、違うなぁ)

ちょっと面白くないけれど。

「なんだって、あんな村が?」

母さんは、ちょっと頭をかしげるけれども。

「まぁ、好きずきなんじゃないの?」

言い訳にしては、弱いけれど…

「ふーん」

母さんは、まだ何か言いたそうな顔をした。


「ところで、じいちゃんの村って…

 どうやって、行ったっけ?」

 これ以上突っ込まれたら、やぶヘビだ。

あわてて聞いてみる。

そういえば、ここ数年は、行っていないことを思い出す。

やはり母さんも、そう思うのか、

「何よ、最近ちっとも行ってないくせに!」

(ほら、来た!)

早速突っ込まれる。

「それは、中学に入ってから、塾とか忙しくて…」

 それは、本当のことだ。

だけど、後ろめたい気がするのは、なぜだろう?

「まぁ、そうだけど。久しぶりに、行ってみようかな、と思って」

トモヒロも、行きたいと言っているし…

切り札のように、口にする。

「そう?」

疑わし気に、爽を見つめる。

「それに、休みだし!骨休め?」

思わずそう言うと、

「どこが?」

すぐに、やられた。

とんでもないスナイパーだ。

これ以上言うと、さらに詮索されかねないので、

「これを見て」

黄門様の印籠のごとく、例のお面を取り出して見せた。

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