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「実はトモヒロ…じいちゃんの村に、行ってみたいと言うんだ」
トモヒロ、ごめん!
爽は心の中で、そう思う。
だが母さんは、トモヒロには比較的、好感を抱いているようだ。
「あら、そうなの」
ブツブツ言いながらも、それ以上、余計なことは口に出さない。
(ちぇっ、要領がいいヤツは、違うなぁ)
ちょっと面白くないけれど。
「なんだって、あんな村が?」
母さんは、ちょっと頭をかしげるけれども。
「まぁ、好きずきなんじゃないの?」
言い訳にしては、弱いけれど…
「ふーん」
母さんは、まだ何か言いたそうな顔をした。
「ところで、じいちゃんの村って…
どうやって、行ったっけ?」
これ以上突っ込まれたら、やぶヘビだ。
あわてて聞いてみる。
そういえば、ここ数年は、行っていないことを思い出す。
やはり母さんも、そう思うのか、
「何よ、最近ちっとも行ってないくせに!」
(ほら、来た!)
早速突っ込まれる。
「それは、中学に入ってから、塾とか忙しくて…」
それは、本当のことだ。
だけど、後ろめたい気がするのは、なぜだろう?
「まぁ、そうだけど。久しぶりに、行ってみようかな、と思って」
トモヒロも、行きたいと言っているし…
切り札のように、口にする。
「そう?」
疑わし気に、爽を見つめる。
「それに、休みだし!骨休め?」
思わずそう言うと、
「どこが?」
すぐに、やられた。
とんでもないスナイパーだ。
これ以上言うと、さらに詮索されかねないので、
「これを見て」
黄門様の印籠のごとく、例のお面を取り出して見せた。
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