「何で切るんだよ」

 電話を切る爽を見て、トモヒロは不満そうに声を上げる。

「だって…あんまり言うと、怪しまれるだろ」

それもそうかぁ~

二人はうーんと考え込む。

「結局、ふりだしに戻る、かぁ~」

爽はポツリとつぶやく。

「こうなったら、その村に乗り込もう」

トモヒロが、グッと握りこぶしを作って、そう言う。

「知っている人を、片っ端から探すんだ。

 一人くらいは、いるだろ」

珍しく、トモヒロがやる気になったようだ。

だが爽は何となく…イヤな予感がしてきた。


「さっきは、なに?

 あんたたち、何をするつもり?」

 トモヒロと別れて、早速爽は、じいちゃんのアルバムを探す。

押し入れに頭を突っ込んでいると、いきなり母さんが部屋に

入って来た。

「いきなり、なんだよぉ」

頭をゴンとぶつけて、爽はあわててブスッとした声を出す。

「入る時は、声をかけろよ」

決まり悪さをごまかすように、フンとソッポを向く。

何だかやましいことを、しているような…落ち着かない気持ちだ。

「あんた、さっきの電話は何よ」

やはり、来た!と思うけれども。

思いっ切り、しかめっ面をしてみせる。

「別に!トモヒロと休みの計画を立てていただけだよ」

「休みの計画と、じいちゃんの村と、何の関係があるのよ」

 母親は、おそろしく勘がいいのだ。

絶対に、こう来る…と、爽には分かっていた。

だがトモヒロには

『親には言うなよ』

しつこいほどに、念を押されていたので…

話すわけにはいかない。

「いや、トモヒロが興味あるみたいなんだ」

苦しい言い訳だ。

母親は、「ホント?」

爽の顏をのぞき込んだ。

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