第2章 おもかげのキミ
1
「問題は、どうやって探すか、ということだな」
トモヒロはおでこに指をあてて、はぁ~とため息をつく。
「手っ取り早く、ネットは?
だって、祭りの名前は、わかっているんだから」
「鬼神村?聞いたことがないけどなぁ」
二人は顔を見合わせる。
「うーん、そうだなぁ」
トモヒロは先ほどから、何か考え込んでいるようだ。
「それって…今年のチラシか?」
もしかしたら、2~3年前のもの、という可能性もある。
「案外、昔のものかもしれないぞ」
やはり、そうなのかなぁ?
爽はじぃっと、そのチラシを見つめる。
「ソウ…おまえ、何かあったのか?」
探るような目のトモヒロと、目が合う。
「いや、何でもない」
そう言いながらも、爽は何だか、落ち着かない気分になる。
「どうした」
言ってみろ、とさらにトモヒロが、疑いのまなざしを向けるので…
やはり、あいつの目は、ごまかせないなぁ~と、爽は覚悟を決める。
「実は…昔、行ったことがあるみたいなんだ」
ポツンと爽はつぶやく。
「なんだって?
どうしてそれを、言わないんだ」
「今、言ってるだろ」
一応、言い返してみるけれど、トモヒロは信じられないものを見る、
というような視線を向けてくる。
「わかった、わかったよ!
さっきのさっきまで、忘れていたんだよ」
言い訳のように、早口で言い返す。
「ふぅーん、そうなのかぁ?」
だが、トモヒロはまだ疑っているようだ。
「本当だよ、本当に忘れていたんだよ」
自分でも、本当のことなのか、自信がないのだ。
信じてくれよ、とトモヒロを見返すと、
「おまえなぁ~そういう大切なことは、早く言えよぉ」
ブスッとした顔で、爽を見つめた。
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