16
本当は、聞きたいことがたくさんある。
手紙の主は、若い女の子なのか?
それとも、オバサンか?
おばあさんなのか?
制服を着ていたのか?
どんな感じの人なのか?
過ぎたことを悔やんでも、仕方がない…とは、わかっているのだが。
「まぁ、あの女の子に聞いても、わかんないよなぁ」
ボヤくように、そう言うと…
はぁと、トモヒロはため息をつく。
「そうだな」
爽たちと話すこと自体も、あんなにビクビクしていたのだ。
少なくとも、おっかない女の人ではない、というのは確かだろう。
「どうする?
どこかで、ソウのことを一目惚れして、ストーカーしてる子がいたら?」
からかうように、トモヒロがへへへと笑う。
「それは、ない!」
トモヒロでもあるまいし…
そんなタイプではない、ということは、自分が一番よく知っている。
「じゃあ、どうする?」
冗談が通じない、とわかったのか、トモヒロは
「つまんねぇの」とつぶやく。
「どうするって…」
トモヒロに聞き返すけれど、もちろん彼の言いたいことは、わかっていた。
「探すのか?」
「うん…」
爽は、じぃっとチラシを見つめる。
何かヒントがないか、と考えたのだ。
何となく、記憶のどこかを刺激する絵だ…
「しょうがないなぁ」
黙り込む爽に向かい、ポンとトモヒロの肩を叩く。
「わかったよ。付き合ってやるよぉ」
一つ貸しだからな、と言いながらも、トモヒロはとても楽しそうだ。
「おまえ…実は、興味があるんだろ?」
ホント、暇だなぁ~
にぃっと爽が笑う。
「まぁな」
共犯者のように、目を見合わせると
「さぁて、手掛かりは、このお面とチラシだ」
どうやって、探そう?
「ホント、面倒だなぁ」
顔をしかめて、パンとトモヒロは手を打ち合わせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます