15
「おい、おい」
何回か揺さぶられ、爽はハッと気が付く。
「あっ、ごめん…
やっぱ、思い出せないや」
ムリヤリははっと笑う。
「そうか?」
いぶかしむように、爽をのぞき込む。
「この村…知っているか?」
まさかとは思うけどな…
さらにうかがうようにして、トモヒロは爽を見る。
「うーん、どうだろう?」
再びチラシに目を落とすと、何か手がかりがないかと、裏返して
みる。
すると、そこには小さく、文字があるのを見つける。
「えっ?」
思わず爽は、文字に吸い寄せられるようにして、じぃっと見ている。
「なんだ?」
トモヒロがどれどれ、とのぞき込む。
「これ…」
爽の指差す文字に、目を走らせると、
「またか…」
渋い顔をする。
『わたしをさがして…』
最初に見た、あの手紙と同じ文字が、二人の目に飛び込んできた。
「これって、偶然じゃあないよな」
トモヒロが、爽を見る。
「それは、そうだろ」
まだ、この近くにいないか…と、あわてて道路に飛び出す。
だがさすがに、どこにもそれらしい姿は、見受けられない。
「イタズラかなぁ」
ポツンと爽が言う。
「それは、どうかなぁ。
少なくとも、あの子に頼んだのは、女の人のようだ」
本当は、もっと聞き出したかったのだが…
さすがに、あの女の子には無理だった、と爽は心の中でそう思った。
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