14
「ほら、ここ!
このお面に、よく似ていないか?」
早速、トモヒロが気が付く。
やはり、よく目端が利くやつなのだ。
「うーん、どうなのかなぁ?
そもそもお面って、みんな同じに見えるんだよなぁ」
ポスターを縮小したようなチラシには、祭りの名前の隣に、
大きく描かれたお面が一つ。
「うーん…こういうお面って、個人が持つものなんだろうか?」
「古い家なら、あるんじゃないか?」
お面をのぞき込む爽に、トモヒロはそう付け加える。
テレビで見かけるような、蔵がある家ならば、そんなことがあっても、
おかしくはない。
さっきは、つまらなさそうな顔をしていたのに、受け取った本人の爽
よりも、トモヒロの方が、やけにのり気な顔をしている。
「なぁ、この町って、知っているか?」
いきなり、チラシの下に書いてある地名を指差す。
神社の名前の他に、書かれている名前に注目する。
「鬼神村祭り?」
思わず爽は、声をもらす。
「そんな祭り…聞いたこと、あるか?」
トモヒロが確かめるように、爽の顔をのぞき込む。
「あれ?」
爽の頭には、ひらめくものがある。
「はっきりとは、わからないけど…
このお面、どこかで見たことが、あるような気がする…」
「えっ、そうなのか?」
だが実際のところは…爽の頭の隅っこで、何かがチラチラと引っかかる
ような気がするだけだ。
それは、予感だ。
(近付いてはいけない。
近付いたら…よくないことが、起きるかもしれない)
それは、自分の心の声なのだろうか?
それとも、誰かに言われた記憶なのか?
しばらく黙りこみ、じぃっと鬼の面を見つめる爽に向かい、やっとトモヒロは、
爽の様子がおかしいことに、気が付く。
「おい、大丈夫か?」
ようやく真顔で、爽の顔をのぞき込んだ。
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