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「ほら、ここ!

 このお面に、よく似ていないか?」

 早速、トモヒロが気が付く。

やはり、よく目端が利くやつなのだ。

「うーん、どうなのかなぁ?

 そもそもお面って、みんな同じに見えるんだよなぁ」

ポスターを縮小したようなチラシには、祭りの名前の隣に、

大きく描かれたお面が一つ。

「うーん…こういうお面って、個人が持つものなんだろうか?」

「古い家なら、あるんじゃないか?」

お面をのぞき込む爽に、トモヒロはそう付け加える。

 テレビで見かけるような、蔵がある家ならば、そんなことがあっても、

おかしくはない。

さっきは、つまらなさそうな顔をしていたのに、受け取った本人の爽

よりも、トモヒロの方が、やけにのり気な顔をしている。


「なぁ、この町って、知っているか?」

 いきなり、チラシの下に書いてある地名を指差す。

神社の名前の他に、書かれている名前に注目する。

「鬼神村祭り?」

思わず爽は、声をもらす。

「そんな祭り…聞いたこと、あるか?」

トモヒロが確かめるように、爽の顔をのぞき込む。

「あれ?」

 爽の頭には、ひらめくものがある。

「はっきりとは、わからないけど…

 このお面、どこかで見たことが、あるような気がする…」

「えっ、そうなのか?」


 だが実際のところは…爽の頭の隅っこで、何かがチラチラと引っかかる

ような気がするだけだ。

それは、予感だ。

(近付いてはいけない。

 近付いたら…よくないことが、起きるかもしれない)

それは、自分の心の声なのだろうか?

それとも、誰かに言われた記憶なのか?

しばらく黙りこみ、じぃっと鬼の面を見つめる爽に向かい、やっとトモヒロは、

爽の様子がおかしいことに、気が付く。

「おい、大丈夫か?」

ようやく真顔で、爽の顔をのぞき込んだ。

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