13
「あぁ~そうだったな」
ポンと玄関に投げ出してあった荷物を、あらためて取りに戻る。
まさか、なくなってはいないだろう…と思ってはいたが、確かに
靴箱の上に、放り投げてあった。
チラリと見えたのは、少し膨らんだ茶封筒と…それから、チラシ?
「なんだよ、これ」
ちょっと違和感を感じる。
まず開いたのは、茶封筒の方だ。
中には、古いお面が入っている。
「えっ?なんだよ、嫌がらせか?
それとも、いたずら?」
しかもそれは、かなり古ぼけた鬼のお面だ。
「なんだよ、気味が悪いなぁ」
顔をしかめる爽の隣で、
「少なくとも、ラブレターではないな」
ちゃっかり横からのぞき込んで、トモヒロはヘラリと笑う。
「これで、ラブレターだったら、かなり怖いよ!」
爽も負けじと言い返す。
さすがに、そんな趣味はない。
コレクターならば、喜ぶのだろうが。
そもそもどっちが、ラブレターだ、と騒ぎ出したんだっけ?
「大体『わたしをさがして』だなんて、怪しいと思ったんだよ」
さらりとトモヒロが、言ってのける。
今さら、それを言うのか?
それに、一番面白がっていたのは、当のトモヒロだったはずだ。
だが、そんなことなど、すっかり忘れたように、ちゃっかりと
まっさらな顔をして、傍観者の顔をしている。
「あ~あ、何だか損した気分だなぁ」
半分本音を、チラ見せしている。
(誰のせいだよ)
「でも、これって、どういうことなんだ?」
ともかく爽は、お面と一緒に入っていた、チラシを広げてみる。
「これって、今年のチラシだろ?」
何のことを言っているんだ?
トモヒロに言われて、あらためて爽ものぞき込む。
それは、どこかの町の祭りのチラシだった。
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