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「このお兄さんが、聞きたいことがあるんだって」

 あろうことか、トモヒロがそう切り出す。

(まぁ、そうなんだけど~

 少しは、協力してくれても、いいのになぁ)

何と切り出したらいいのかわからず、爽は思わず、トモヒロを見る。

そんな爽の心の内も気付かず、その女の子は、まっさらな瞳を爽に

向ける。


(ほら、聞けよ)

 さらにトモヒロは、目で合図をする。

(わかってるよぉ)

何だかどうも…トモヒロのペースに、巻き込まれているような気が

するが、元々は、自分のことなのだ。

爽はグッと、深呼吸をすると、

「ねぇ、さっき、この家の前にいたよね?」

まずは、遠回しに探りを入れる。

 女の子はキョトンとしているけれど、コクンとうなづく。

「じゃあねぇ、この包みのこと…

 何か知ってる?」

ニコニコしながら、先ほど回収した物を、トモヒロは女の子の前に

突き出す。

「えっ」

女の子は、怒られる…と思ったのか、顏をこわばらせて、ギュッと

唇を固く結ぶ。

「あっ、別に…怒っているわけじゃあないんだよ。

 そうじゃなくて…

 これって、誰がポストに入れたのか、知ってる?」

ドキドキしながら、爽は尋ねる。

女の子は深くうなだれると、ギュッと風船のヒモを握り締める。

まさか、ここで泣き出すのではないか…

爽は思わず、息を飲んだ。

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