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「ソウ…おまえ、何かあったのか?」
隣の席の田中君に、声をかけられる。
「えっ?なにも」
「最近、いいことがあったんじゃあないのか?
やけに、ソワソワしてるけど…」
ニヤニヤしながら、爽を突っつく。
「何もないよ、気のせいだろ」
そう返したけれど、内心ヒヤヒヤしていた。
ごく普通にしているつもりでも、やっぱり違って見えるのだろうか?
チラリとトモヒロを見ると、眉間にシワを寄せて、無言でうなづく。
(やっぱり、浮ついているのだろうか?)
急に自信がなくなる。
気を付けよう、と心に刻む。
それでもトモヒロも、やはり落ち着かないのか、最近は爽を見張る
ように、徘徊している。
「おい!ドーベルマンじゃないんだから、そんなにウロウロするなよ!
警戒されるだろ」
そうしたら…手紙の手がかりがなくなってしまう…
爽はひそかに、それを心配していた。
もしかして、自分たちの様子に気が付いて、相手があきらめたのでは
ないか…と思っていた頃、ようやく変化が訪れた。
「あっ、何か入ってる!」
いつものように、帰宅するといの一番に、ポストをチェックすると…
何かが、指先に当たる感触がした。
「おっ、なんだ?ついに、きたか?」
トモヒロは飛び付くようにして、爽を押しのけると、ポストの中を
のぞき込む。
「おい、待てってば!」
バタンとふたを開けて、中を確認すると…
数枚のチラシの間から、大ぶりの封筒が混ざっているのが目に入った。
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