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「だけど、思わせぶりだなぁ~
『わたしをさがして』だなんて」
これが本当ならば、素人の自分たちの手には、負えないのでは
ないか、としか言いようがない。
「誘拐されているのか?
それとも、犯罪がらみなのか?」
ま、それが本当ならなぁ、とチラリとトモヒロが爽を見る。
「えっ、何だよ。
どういう意味だよ」
何となく、引っかかる言い方だなぁ~と、爽は見返した。
「だってさ!宛名はない、差出人の名前もない、住所もない、
消印もない、なんて…
ちょっと、信用が出来ないだろ」
トモヒロはこう見えて、ミステリー好きなのだ。
爽に向かって、きっぱりとそう言う。
「おまえ…からかわれているんじゃあないか?
それとも…誰かと間違えて、おまえのポストに入れたとか?」
しっかりしてくれよぉ~
ポンポンと、爽の肩を叩く。
「こんなの…小学生だってわかる、イタズラだろ?
案外、爽の反応を見て、面白がっているんじゃあないか?」
トモヒロにそう言われてしまうと、爽も何となく、そんな気が
してきてしまう。
「何だか、身も蓋もない言い方だなぁ」
夢も希望もないのか?
爽は急に、シュンとする。
すっかりしおれて、下を向く爽を見ると…
ふいにトモヒロが、思いついたように、
「そうだ」と声を上げる。
「どうせだったら…ためしに、だまされたフリを、してみるか?」
「なんだよ、フリって…」
何が言いたいんだよ、と爽はけげんな顔をする。
「だから…あえて、引っかかるんだよ。
誰が出したのか、見てみたいと思わないか?」
名案だろ?
トモヒロはニヤリと笑って、何かを企む顔付きになった。
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