第6話 家庭教師とテスト
家庭教師は一見とても温和そうな青年だった。年は23歳だそうだ。そして、容姿はとても美形。ただ笑顔が胡散臭い。なんか腹黒そうだ。
それでも僕に対して普通に優しかったし、とりあえずはこの先生にお任せしようと思う。
ああ、そうそう。先生の名前は真坂 恭介というんだって。
そして、僕はまだ2歳ということもあり僕に合わせたカリキュラムを組む必要があるからと、簡単なテストをするらしい。
「誉様。では、準備はよろしいですか?」
と真坂先生が聞いてくる。周りにはいつものメイドたちとなぜかお母さままでいる。その場にはなぜか緊張のようなものが走る。僕は一人疑問に思いながらも、返事をする代わりにコクリっと頷いた。
そして、先生が何枚かのA4の用紙を取り出す。そこには日常でよく見るものなどの絵が描いてあった。先生は、
「では、この中でリンゴはどれでしょう?」と聞いてくる。もちろん見たら一目両全なので僕は黙って指を指す。その場には、おお~などの小さなどよめきが起こる。本当になんだこれ?
その後もいろいろなテストをした。だんだん難易度は上がっていたようだが、見た目は赤子、頭脳は大人の僕には脳の刺激にすらならないようなレベルだった。最終的には足し算と引き算の問題を聞かれた。小学生レベルの。
「最初、公園である男の子たちが遊んでいます。あとから三人の子が”一緒に遊ぶから輪に入れて”と声をかけてきて人数は8人になりました。最初から遊んでいた子たちは何人でしたか?」
という問題だ。式は8-3=5なので、僕は短く
「五人」
とだけ答えた。そしたら先程以上に周りにいた大人たちが「おおお~」と声を上げる。先生も目を見開いていた。
そして、
「…今日は、これくらいにしましょう」
という母さんの言葉でテストが終わった。その日はいつもより晩御飯が豪華だった。
まあ、前世に比べたら毎日栄養のことを考えられたものを食べるというのも大分豪華で恵まれていると思うが。
ただ、ああ~ジャンクフードが恋しい!
僕、生まれ変わったので喋りません!! 哀歌 奏 @AkatsukiRito
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