第16話
「たまには 多香緒の家に行ってみようぜ」
北海道での、出来事を 語りたがらない多香緒の様子を、おかしいと感じている かなえ。
イリヤと、話し合い家宅捜索しようというのだ。
「そうだよね
1人で 北海道なんて 相当だからね~」
もしかしたら、多香緒はだいぶ精神的に病んでいるのかも知れないと心配するイリヤ。
「そうそう
GPSでは もう帰宅しているから 家の中に強引に あがろうよ」
あたりまえのように、多香緒をGPSで監視するかなえ。
「うん 問題をかかえたままだと 活動休止とか イヤだもんね」
ストレスから、大胆な行動に出る人もいるので、そのことが脳裏をかすめるイリヤ。
「そうそれ
ティッティーの看板を大きくしている時に 不祥事を起こされたら たまったもんじゃあないしなぁ」
面倒事を起こしたと、一旦ネットニュースになればデジタルタトゥーとして有力だ。
「うん
それでも あたいは 多香緒を支えていきたいけどね」
目を、細めてかなえを見るイリヤ。
「そんなの ウチだってそうだよ」
負けじと、反論するかなえ。
「キャーッ」
パッと、多香緒が住むマンションに目線を向ける二人。
「えっ 今」
お互の顔を、見合せるかなえとイリヤ。
その頃
「いゃあーっ」
箱から、鋭いツメをした手がニョキッと出てくる。
「キャーッ」
悲鳴を、あげる 多香緒。
「ヴゥゥ」
二本の腕が、あやしく上下する。
「ぅぅぉおおおッ
誰?なんなの ??」
誰かが、這って出てくる。
「ジャーン」
両腕を、Yの字に上げてポーズをとる女。
最初、コスプレした人間が出てきたと思ったら、ギフちゃんが出て来てさらにビックリする。
「はッ!
なんで 箱から ギフちゃんが出て来るのよ ??」
頭が、混乱する多香緒。
「ハッピーハロウィーン~」
妙に、テンションが高いギフ。
「いや ハロウィンは 1ヶ月先だから」
すぐ、冷静なつっこみをする多香緒。
「あっ そうでした~」
両腕を、頭の上で曲げてMの字を作るギフ。
「それより どうしたの?
ってか どうやって あたしの家までやって来たの ??」
次々と、疑問点が湧いて出てくる多香緒。
「それはね………」
顔と顔が、くっつきそうなほど接近する多香緒とギフ。
「おい 多香緒の悲鳴じゃあねえか ??」
イリヤが、真剣な顔でかなえに言う。
「うん 急ごう
なにか トラブルかも知れない」
小走りで、マンションに駆け込むかなえとイリヤ。
エレベーターの、スイッチを素早く押して乗り込む。
「おーい 多香緒 !!」
ドンドンドン
多香緒の家のドアを、ノックしまくるかなえ。
「ヤバい
とりあえず ベランダに 隠れて」
ギフが、二人に見つかると色々とヤバい。
「えっ
なんで 隠れなきゃならないんだ ??」
ぶぜんとした、表情のギフ。
「イイから 隠れてよ
早く !!」
強引に、ギフの手を引っ張る多香緒。
「仕方ないなぁ」
しぶしぶ、ベランダに出るギフ。
「おーい 多香緒
いないのか~」
ドアノブを、ガチャガチャと回すかなえ。
「あっ 今出るよーっ」
ガチャリ
「おまたせ~
どうしたの こんな時間に ??」
無理やり、笑顔をつくる多香緒。
動揺が、隠せない。
「おい 今 悲鳴が聞こえたんだが 大丈夫なんだろうな ??」
多香緒の顔を、見つめるイリヤ。
その隙に、家の中へとヌルッと侵入するかなえ。
「あっ うん ちょっとダンボールで つまずいてね それでなの」
ワンルームの真ん中に、ドンと存在感のあるダンボールに、否が応でも目がいってしまう。
「ふーん
でっかいダンボールだよね」
持ち上げて、観察するかなえ。
「うん でしょー」
変な汗が出る多香緒。
「こんなの ジャマでしょ
最近 届いたの ??」
かなり、鋭い質問をするかなえ。
「うん 今日来たから すぐ解体しようと思っていたとこだから」
苦しそうに笑う多香緒。
「ふーん
それで 中身は 何だったの ??」
冴えわたっているかなえ。
「あっ 大したモノじゃあないの」
両手を振り、ごまかす多香緒
「へーそうなんだね」
半笑いのかなえ。
「そうそう」
笑顔が、引きつりっぱなしの多香緒。
「こっち トイレだよね」
家捜しを、始めるイリヤ。
トイレの、ドアを開けて中に入る。
「うん」
同時進行で、対応する多香緒。
「トイレの横に シャワールーム」
1畳ほどの、シャワールームがトイレの横にある。
ビニールカーテンで、仕切られている。
「うん あまり見ないでね」
ズカズカと、入って来る二人にクギを刺す多香緒
「はいさ」
敬礼の、ジェスチャーをするイリヤ。
「あっ 冷蔵庫がない冷蔵庫は ??」
完全に、探偵気分のかなえ。
「あっ ベッドの下にあるのが 冷蔵庫だよ」
下の方を、指差す多香緒。
「あっ ホントだ」
わざわざ、引き出しを引っ張るかなえ。
もう、やりたい放題である。
「洗濯機は ベランダかな」
立ち上がって、窓の方に行くかなえ。
「あーっ
そうだよぉうん」
カーテンに、手を伸ばしたかなえの前に割って入る多香緒。
「なんなの
大きなリアクションで」
あきらかに、おかしい多香緒。
「ううん
なんでもないよ~」
苦笑いする多香緒
「へーそうなんだー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます