第15話

「クソッ

ごめんよ マビ・・・」


自室に戻り、マキリというナイフを

握りしめる アンナ


「どうやって 助け出すか」


檻に、入れられた仲間を

救出したいが、潜入任務中なのに

情報を、得る前に 出るわけにも

いかない。


「なにか 方法は ないのか?

まだ ファジレが どこに居るか

わからないのに・・・」


その頃


「最近ね ハマってるの」


テレビ収録中の、マッコブラックピーチが

近況を、話しはじめる。


「なにがですのん ??」


前のめりで、聞く 村井


「ワサビ味の ドーナツに」


変なことを、言う

マッコブラックピーチ


「へぇ ホンマ」


特に、関心がないが 相づちをうつ

村井


「ハマっていると言えば この前

TICあったじゃない?」


大幅に、話しを変える

マッコブラックピーチ


「この前っても 2ヶ月くらい

たつんちゃう ??」


細かく、つっこむ 村井


「そうなんだけど

それでね 推しよ」


含み笑いする

マッコブラックピーチ


「ありゃ

見つけてもうたんですね推しを

ってか みんな あの1件には

触れんとこ ってここまで来たのに

やってまうねんな」


テレビ業界全体で、1人刺殺された件に

さわらないで、忘れ去ろうと

している最中、あえて掘り出す

マッコブラックピーチ


「イヤ そろそろ ホトのほてりも

冷めたころじゃない

そろそろ 話させてよ」


ニヤリと、笑う

マッコブラックピーチ


「まぁ ええよ そりゃあ」


腹をくくる 村井


「かわいい娘だし

パフォーマンス直後に トラブルが

あって かわ゛いそうなの~」


だいぶ、同情している様子の

マッコブラックピーチ


「マッコさん

そういう不遇なの好きですねえ」


半笑いの 村井


「それも あるけど

かわいいのよ とにかく」


あくまでも、ビジュアルが

推しの、ポイントだと言う

マッコブラックピーチ


「ほな 後で チェックしときます

それで ??」


それだけよと、返事を期待する 村井


「それで その子が ユーチューブで

動画あげてるんだけど

最近 ラップを はじめましたってのが

ツボっちゃって」


だいぶ、推しに のめりこんでいる

マッコブラックピーチ


「珍しいな

そんなに おもろいんや ??」


目の、肥えた マッコが 面白いと言う

からには、相当だと 期待のハードルが

上がりまくる 村井


「そーなの

もう 無理やりやってますってね」


画面から、あふれる 無理やり感。

だが、それが たまらなく好きな

マッコブラックピーチ


「それは かなり がんばってるん

ちゃいます ??」


理由は、なんにせよ 若手は

そういうものと言う 村井


「そう 必死なの

でも 歌声は すっごいの

ホンコンで アップした動画」


いろいろ推しの動画を

穴が開くほど見て、悦に入っている

マッコブラックピーチ


「どんなの ??」


楽しそうに、話す マッコに

ニヤッと、笑う 村井


「プリンプリの名曲よ

本当に ダイアモンドの原石よ 彼女は

多香緒ちゃんは」


ウンウンと、うなずく

マッコブラックピーチ


「へぇー

マッコが そない言うなら

見てみるわぁ」


その頃


「はぁー 明日から 10月かぁ」


途中、コンビニで コンビニ弁当を買い

ワンルームの、自宅に帰る 多香緒


「こんばんは~」


多香緒が、ドアにカギを刺すと

背後から、声がして ビクッとする。


「うぉっ

ああ 宅配便ですか ??」


台車に、大きいダンボールを乗せた

宅配便の配達員が、にこやかに

立っている。


「はい

高尾多香緒さんですか ??」


ドアを、開けるのを 確認して

いたようだ。


「はぁ

そうですが・・・」


ドアを、開け放ち 並べてあるクツを

移動させる 多香緒


「これ 重いんで

留守だったら 大変でした」


玄関先まで、台車を押す 宅配便の 男。


「箱が 大きいですね」


やたらと、大きいダンボール箱だ。


「そうですよね

玄関の奥まで 中に入れますね」


台車から、重そうに持ち上げる

宅配便の 男。


「あっ はい

奥に出して下さい」


誘導する 多香緒

部屋が狭いので、ものすごく

圧迫感がある。


「はいッ

ウッ・・・クゥゥ」


狭い中を、チカラいっぱい

持ち込む 宅配便の 男。


「大丈夫ですか?

あたしも 持ちますよ」


持っているクツを投げ

手を出す 多香緒


「あ゛大丈夫です

ふぅぅ」


手伝おうとする、多香緒を 制する

宅配便の 男。


「ありがとうございます」


礼を、言う 多香緒


「それじゃあ また

ありがとうございました」


バタム


帽子のツバを、軽くつまみ

一礼して、ドアを閉める 宅配便の 男。


「に しても

大きい ダンボール箱だなぁ」


少し、つかれ気味で 頭の回らない

多香緒


「まぁ

さめる前に 弁当食べよう」


コンビニ弁当を、レジ袋から

取り出し、つまようじを確認して

箸を出す 多香緒


「いただきます」


一口、クチに入れた時に・・・


ガタッ


「!!?」


大きいダンボール箱から、音がする。


バタッ


上が、多香緒の方に 横倒しになる 箱。


「えっ コワ

こいつ 動くぞ」


ピシャッ

ピシャーーッ


ツメで、引っかかれたように

箱が、開く。


「ぅぅぉおおおッ

誰?なんなの ??」


誰かが、這って出てくる。


「ジャーン」


よく見ると、どこかで 見覚えがある

多香緒


「は???」

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