第12話

「これより 会議を 始めます」


ポヨポヨドーム札幌の地下。

元々は、パ・りーグのチーム

本拠地だったが、のちに

JりーグのJ2チームである

エガッタ札幌の、ホームグラウンド

となり、今は 空き物件に なっている。


「待って 1人足りないわ !!」


いつも、オソウメン含め 8人で

幹部会議を、しているのだが

アンナが言う通り、マビの姿がない。


「ああ マビか?

あいつには 別班の疑いがある」


マビに、スパイ容疑をかける

オソウメン

事前に、そんな素振りは

一切、見せなかった。


「なによそれ ??」


かなり、慎重に諜報活動を

してきただけに

驚きを、かくせない アンナ


「おおかた 僕達のことを

テロりストとでも 思って

いるんだろうが」


肩を、すくめる オソウメン

かなり、深刻そうな顔を

している。


「それで 彼女は 今どこに ??」


とりあえず、マビの 安否確認を

したい アンナ


「どうした?

やたらと ヤツのことが

気になっているんだな ??」


いぶかしげに、アンナを見る

オソウメン


「いいえ 別に・・・」


オソウメンから、目を そらす

アンナ


「そうか

それでは モニターを 見てくれ」


リモコンのスイッチを、押して

画面の電源を、入れる オソウメン


ブーン

・・・


薄暗い中を、誰かが歩いている。


カッ


一気に、昼間のような ライトが

焚かれて、姿が あらわになる。


「・・・ゥッ」


思わず、絶句する アンナ

モニター画面には、全身に白濁

した液を流し、前屈みで 一定の

リズムで、檻の中を歩く マビの

姿が、映し出されている。


「なかなか クチを割らないから

こんな 動物のように

ククク」


クチを、抑えて 笑いを こらえる

オソウメン

マビは、自白剤の影響で

ずっと、同じ足跡のところを

踏むように、歩いて回っている。


「・・・こんな

ヒドい」


クチから、食べ物が出そうに

なるのを、おさえる アンナ


「よく見ろ!

これが 僕達を 裏切った者の

末路だ !!」


うつ向くメンバーを、恫喝する

オソウメン

血走ったまなこで、グルリと

見回す。


「・・・」


押し黙る メンバー。

汗が、地面に落ちる音が

聞こえて来る。


「それでは 会議を始める」


その頃


「来月から 向日葵岡45の前に

前座で 出演が 決まったじゃん」


楽屋で、多香緒たちに

話しかける かなえ


「あっ

そういえば 向日葵岡っていえば

うすいちゃんが いるんだよね」


思い出したように言う イリヤ


「多香緒は なにか 聞いてないの ??」


そのことを、クラスメイトの多香緒に

話したか、聞いてみる かなえ


「いや

特には 聞いてないよ」


両手を、振る 多香緒


「そうなんだ」


渋い顔を、する イリヤ


「白雪さんって 自分から

なにも話さないタイプよね」


苦笑いする かなえ

白雪家といえば、明倉財閥と

並ぶ名家だが、そのことも

最近、わかった。


「うーん そうかも」


話したくないのに、無理やり

聞きたくない 多香緒


「まぁ ウチらの チームって

もともと 眼中に ないでしょ」


超有名プロデューサーが

手掛けた、グループで

戦艦と、スワンボートだ。


「まぁ あっちは 大所帯だし

グループ内で いろいろある

みたいよ」


みんながみんな、仲が良いとは

言い切れない、メンバーだ。


「まぁ あたいは あんな 大人数の

チームよりか 本当に仲のイイ人と

バンドをやりたいな」


多香緒の顔を、見る イリヤ


「バンドは まだ 活動出来てない

けどね~」


つっこむ かなえ


「それな」


苦笑いする イリヤ


「その時には みんなの

度肝を ぬいてやろうよ」


ガッツポーズする 多香緒


「そうだよね」


ニヤリと、笑う かなえ


「楽しみだなぁ」


その頃


「高尾P !!」


テレビ局の廊下を、小走りで

高尾Pを、呼び止める ディレクター。


「おう どうした」


立ち止まり、振り返る 高尾P


「局からゴー出ました」


うれしそうな ディレクター。


「例の 脱衣ラップバトルか」


食い付くように、寄る 高尾P


「はい 意外と スンナリと」


エロい内容を、多少含んでいるので

企画の、揉みなおしが 入るかに

思われたが、あっさり通った。


「もっと 難産かと思ったけどな」


口角を、上げる 高尾P


「よかったですね」


ニッコニコの ディレクター。


「これから 大勝負だ」


腕組みする 高尾P

久しぶりに、たぎるモノがある。


「はいー」

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