第10話

「ねぇ 夏休みの 終わりのへんさぁ」


放課後、スーパー○ップを ポリポリと

食べながら、かなえが聞いて来る。

3人で、合流して ライブ会場へ

向かっている。


「あっ うん」


若干、イヤな予感が しつつも

笑顔を、作る 多香緒


「夏休みの宿題とかの為に

ライブが 休みだったじゃん ??」


学生は、夏休みが終わりの あたりの

ライブ活動を、制限しようという

事務所の方針で、ステージに出なくて

よかったのだが、八夕との親睦だけで

賞金首が取れなかった。


「だよね」


遠い目をする 多香緒


「どっか出かけてなかった ??」


少し、言葉のジャブを打つ かなえ


「ギクッ」


あきらかに、反応する 多香緒


「北の方面とか」


ぼんやりと、言って 目を細める かなえ


「北海道には 行ってないよ」


つい、クチが 滑る 多香緒


「へー 北海道に 行ったんだー」


わかっているくせに、かなえは

オーバーリアクションをする。


「なんで わかっちゃうのよ」


GPSで、位置がバレているとは

露ほどにも、わからない 多香緒


「さぁね

それより なにしに行ったのか

おしえて 欲しいんですけど」


笑顔だが、目が笑っていない かなえ


「かっ かり

観光よ 観光」


危なく、狩りと 言いそうになる 多香緒


「ずるいなぁ

なんで 誘ってくれなかったの ??」


唇を、尖らせる かなえ


「北海道とか 行きたいって

言ってたっけ ??」


逆に、指し返す 多香緒


「そりゃあ 行きたいでしょうー!!」


うまいモノに、目がない かなえ


「それじゃあ 今度 行こう」


とりあえず、この場を おさめたい

多香緒


「ホントにー」


疑いの目で見る かなえ


「ホントホント」


ウンウンと、うなずく 多香緒


「で いつなの ??」


具体的な、日付を聞く かなえ


「まだ わかんないよ」


かなえが、あまりにガツガツしている

ので、少々 引いている 多香緒


「そうなんだ

わかったら すぐ連絡してよね」


いきなり、真顔になる かなえ


「うん もちろんだよ」


苦笑いする 多香緒


ヴィーヴィー


「あっ メッセだ」


スマートフォンの画面を見る 多香緒


「えー どれどれ」


多香緒の、スマートフォンの

画面に、覗きこむ 二人。


「ちょっと 見なくて イイからね」


画面を隠す 多香緒


「でも 気になるっしょ」


少し、ふてくされたような顔をする

かなえ


「いや いちいち 教えないよ」


そう言いながら、スマートフォンの

画面に、目を落とす 多香緒


『今 ブラジルに いるが

応援を 要請する』


安達太良からの メッセだが


「なにこれ」


味も素っ気もない、事務的な

文章に、返信する気が おきない

多香緒


「ねぇ 誰よ?」


イリヤに、小突かれる 多香緒


「くされ縁よ」


ニコッと、笑う 多香緒


「えっ

ウチより くされ縁の人がいるなんて」


聞き捨てならない かなえ


「ビックリした ??」


イジワルな顔をする 多香緒


「うん」


複雑な表情の かなえ

楽屋の前に着くと、木幹がいて


「おはよー」


挨拶して来る 木幹


「あっ 木幹 おはよー」


なんだか、久しぶりに会ったような

気になる 多香緒


「さぁ 10月から ハコも変わるし

もっと がんばらなくちゃね」


ガッツポーズをする 木幹


「うん そうだよね」


ニヤリとする 多香緒


「と 言っても 有名なグループの

前座みたいな 感じですよね?」


まだ、大人数を 集められるほどの

知名度が、ない ティッティ


「まぁ そうだけど

もっと 有名になる チャンスだからね」


どんどん、顔を売っていく時期だ。


「うん 下剋上だよね」


イリヤが、ウンウン うなずく。


「そうだよ そうしたら

もっと テレビにも 出られるし」


少し、興奮気味な 木幹


「イイですね~」


そう言いつつ、少し 安達太良の

様子も、知りたくて メッセの返信を

書く 多香緒


『お疲れ様です

ターゲットって 誰でしたっけ??』


と、多香緒が聞くと


『ホセ パーシバルだ』


『なにした人ですか ??』


『元々 メキシコ人で

マジックポテトで 有名になって

それで賞金首に なって ブラジルまで

逃亡しているんだ』


『そうですか

多少 手こずっているようですが

どんな 状況ですか ??』


『アジトを 突き止め

突入したが もぬけの空だった

今は 1人でも 多くの 人員が

欲しい』


『それは やっちゃいましたね

どこかから 情報が 漏れたの

ですか??』


『そうかも知れない』


『それは 困りましたね』


『手伝えるようなら 来てくれると

助かる』


『行けるようなら 行きたい

ですけど』


『無理にとは言わない

連絡待ってるぞ』


『はい』


安達太良との、やりとりで

悩み はじめる 多香緒


「うーん

お世話に なってるから

助けたいんだけどなぁ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る