第5話

「うーん

別の チームと 北海道かぁ

心配だなぁ・・・」


アメヘダップと、話し合った翌日に

楽屋で、出番を待っている 多香緒


「お客さん たくさん来て

くれているから 笑顔 作らなきゃ」


連日、200人の観客が入れる

ところに、ギュウギュウに

ファンが、応援に駆け付けて

くれるので、次は

2000人が入る場所に、移る話しも

出て来ている。


「そういえば

ターゲットの 情報を

聞きそびれちゃったな」


頭が、オーバーヒートの

状態で、アメヘダップに

会いに行ったので

肝心の、ターゲットの

賞金首に、なった理由を

知らない。


「なに ボーッと 考えてるの?」


鏡に、ぶつぶつ つぶやく多香緒を

気にする かなえ


「あっ

大丈夫だよ 心配いらない」


苦笑いする 多香緒

なんとか、誤魔化す。


「ふーん

それなら イイんだけど」


腰に、手を置き ぶぜんとした

表情の かなえ


「そろそろ 出番ですよ」


劇場スタッフが、呼びに来る。


「はーい」


ワーー


観客は、ずいぶんと

盛り上がっている。


「みんな

来てくれて ありがとー」


笑顔を、振り撒く 多香緒


ワーー


今日も、ステージ上を全力で

舞い踊る ティッティの メンバー。


「ハァ ハァ ハァ」


楽屋に戻り、倒れこむ 多香緒


「ちょっと

どうしたの 多香緒 ??」


普段より、疲労が たまって

いるように見える。


「うん

ハァハァ なんでもない」


無理やり、笑顔を作る 多香緒


「そうなの??」


多香緒の顔を、覗きこむ

かなえ


「うん」


ヴィーヴィー


多香緒の、スマートフォンが

鳴って、会話を ぶった切る。


「あっ

メッセだ」


白々しく、笑う 多香緒


「なにか 困ってるなら

言ってよね」


なにか、隠していると

いぶかしげな かなえ


「うん

ありがとう かなえ」


さとられないように、移動

しかけるが


「あたいも 心配してるよ」


多香緒の、腕を 掴む イリヤ


「ありがとう イリヤ」


二人に、心配され ホッコリする

多香緒


「ふふん」


掴んでいた、多香緒の腕を

放す イリヤ


「えーっと

内容は・・・」


スマートフォンの、中を

見ると


『八夕と 連絡を取ったら

まだ ターゲットを

泳がせるらしいから

すぐ行く必要がない

みたいだ』


「えっ

なんだソレ??」


ターゲットを、監視だけして

おいて、なんの メリットが

あるのか、理解できない

多香緒


「どうした

多香緒??」


多香緒の、背後から スマートフォンの

内容を、見ようとする かなえ


「あっ

なんでもないよ」


サッと、スマートフォンを

伏せる 多香緒


「そう??」


後ろから、ハグする

かなえ


「うん」


反応を見て、多香緒から

離れる かなえ


『ターゲットを

泳がせるって

あまり聞かないけど

何をやって銀杯に なった人

ですか??』


質問の、メッセを 送る

多香緒


『ターゲットはな

もともと 中古車を 日本とか

アジアで 仕入れて 売りさばいて

いたが』


『はい』


どうやら、元々は 悪い人では

ないらしい


『電気自動車を 仕入れて

間も無く 流行り病が

世界中に蔓延して』


『うん』


全世界が、ロックダウンした。


『大量に 在庫を 抱えて

どうにもならなくなって』


『なるほど』


あっけなく、転落してしまった

オソウメン


『臓器売買ビジネスを

はじめたのじゃ』


『えっ??』


一瞬、目を 疑う 多香緒

完全に、堕ちるところまで

堕ちて、しまっている。


『オソウメンは

小さい 臓器を

どこかで 安く仕入れて

横に 流していたのだ』


小さい、ということは

つまり・・・


『コワいですね

そんな ヤツを

放置しておくなんて

ゆるせないです』


八夕師匠の、率いる チームに

異論を、唱える人は

いないのか、疑問に思う

多香緒


『うむ

そうであろう』


多香緒の、言い分が

ごもっともだと言う

アメヘダップ


『すぐ

アタックするように

言わないのですか??』


代表から、発破をかける方が

スムーズに、進みそう。


『まぁ

急ぎの場合は そうするが』


『いや

急ぐでしょ

誰か 子供の臓器が

売買されるなんて・・・』


時間が経てば、それだけ

犠牲者が、増えてしまう。


『うむ

そうなのじゃが』


『あたしが 直接 八夕師匠と

会って 説得します』


なにかしらの、正義感からか

そう言い放つ 多香緒


『うむ

そうしてくれると

ありがたいがな』


ニヤリとする アメヘダップ


『すぐ 行きます』


なぜか、焦ってしまう 多香緒


『おう

気をつけてな』


『はい』


スマートフォンを、伏せて置く

多香緒


「よーし」


拳を、握る 多香緒


「なんか

気合い入ってるね」


ニコッとする イリヤ


「うん

入りまくりだよ」


肩を、グルグル回す 多香緒


「それなら 安心したよ」

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