第3話

ヴィーヴィー


「あっ

ちょっと 待って

アメヘダップから メッセだ」


多香緒の母親、ミクとは

話し合いが、不調となり

ミクは、先に ファミレスを

出て行ってしまい

ガックリと、うなだれる

多香緒の、スマートフォンが

鳴る。


『安達太良の

次のターゲットが 決まったが

付いて行くか??』


どうやら、安達太良は

ターゲットを もう決めている

らしいが、安達太良からは

連絡がない。


「あーっ」


また、チームの メンバーと

打ち合わせなしに、決めたので

憤る 多香緒


「どうしたの 多香緒ちゃん??」


良くない知らせかと、真剣な

表情になる メイジイ


「代表から メッセで

安達太良が 作戦開始したから

付いて行くかって」


ため息まじりで、答える 多香緒


「へぇ?

安達太良からは 連絡が来たの??」


どうやら、みんなとの

連絡を 断っている 安達太良


「いや まだだけど」


自分にも、未だに連絡が

無いのに、疑問に思う 多香緒


「そうなんだ

順序が 逆に なってるね」


本来なら、アメヘダップが

気を使って、メッセを

送って来るなんて

ほぼほぼ無いが、ホンコンでの

一件で、神経を使って

いるのかも、知れない。


「あたしは 次は 休むつもりだった

けど 賞金が 手に入らないから

やらざるを得ないよ」


思わぬ、自転車操業を 強いられて

しまった 多香緒

穴埋めの為には、ハンターを

やり続けなければ、ならない。


「うーん

悩ましいね」


同情する メイジイ

だが、多香緒から お金を

貰わないと、メイジイも

共倒れだ。


ヴィーヴィー


「あっ

また アメヘダップから」


どうやら、メッセが 途中だった

ようで、次々と来る。


『ターゲットの場所は

ブラジルだから 多香緒ちゃんは

アイドルの方が 忙しいなら

無理に行かなくてもイイよ』


かなり、細やかな気配りを

してくれている アメヘダップ


「次 ブラジルって・・・」


目線を、スマートフォンから

メイジイの顔へと、転じる

多香緒


「多香緒ちゃん

ブラジルは 遠いよ

そこって 地球の裏側じゃん」


よく考えて、結論を出すように

言う メイジイ


『一旦 本部まで来て』


結局、直接 話し合いが

したかったようだ。


「本部まで 来るようにって」


ちょうど、恨み節でも

言おうと、思っていたので

すぐ、会いに行くことにする。


「さすがに ブラジルは遠いから

やめときなって」


仮に、ブラジルまで遠征して

空振りになれば、完全に詰む。


「うん

そうですよね」


多香緒も、そこまで リスクを

取るのは、危険だと

思っている。


『すぐ 本部に

行きます』


そう返信をして、メイジイと

ファミレスを出る。


国連ハンター本部


「おお

よく来た 多香緒ちゃん」


玉座に座り、訪問して来た

多香緒を、笑顔で迎える

アメヘダップ


「安達太良が ブラジルに

行くって 聞いて 飛んで来ました」


どうも、いきなりすぎて

解せない 多香緒


「おう そうか

現地は 大寒波らしいが・・・

して 付いて行くのか??」


同行するのか、確認する

アメヘダップ


「いいえ

付いて行きません

てか大寒波て」


ますます、行く気を なくす

多香緒


「おお そうか

大寒波だからかな??」


いらないことを、言ったかと

思う アメヘダップ


「いえ

だって さすがに

遠いでしょ」


寒さが、理由ではないと言う

多香緒


「まぁな

安達太良も 誘うか迷って

いたからな」


一応、気を使える 安達太良


「でしょうね

あたしには 連絡を 寄越しません

でしたから」


皮肉たっぷりに、答える

多香緒


「ああ

それは 早とちりをしてしまったの

すまぬ」


てっきり、安達太良から

話しが、通っているものと

思っていた アメヘダップ


「いいえ

イイんですよ

連絡もせずに ブラジル行きを

決めるヤツが 悪いんです」


安達太良に、対する怒りを

アメヘダップに、ぶつけて

少し、スッキリする 多香緒


「そうだよな

それで 提案だが」


多少、背筋を伸ばして

話題を、切り出す アメヘダップ


「なんでしょうか??」


首を、かしげる 多香緒


「安達太良の師である

八夕(やゆう)という男が

おってな」


話しの、流れを変える

アメヘダップ


「はい」


なんのことだか、わからず

クチを、ポカンと開ける 多香緒


「そいつのチームに

一旦 入ってみては??」


どうやら、勝手に ターゲットを

狙って、面倒を 起こして欲しく

ないらしい。


「安達太良さんの 師匠ですか

うーん」


アレを、生み出した師匠と聞き

躊躇する 多香緒


「うむ

悪い話しでは ないと思うぞ」


安達太良を、買っている

アメヘダップらしい

判断だ。


「わかりました」


とりあえず、会って判断する

ことにしようと思う 多香緒


「おお よかった」


ホッとする アメヘダップ


「八夕師匠って

今 誰を ターゲットに

しているのですか??」


事前に、聞いておくことは

たくさんある。


「今は 銀杯の

オソウメンを 狙っていると

思ったが」


鼻の下のヒゲを、横に伸ばす

アメヘダップ


「はぁ

そうですか」


一瞬、金杯じゃあないのかと

思ってしまう 多香緒


「銀杯だからと言って

あなどってはならぬ」


単に、能力分けで ランクが

決まっているワケでもない。


「そうなんですか??」


あまり、ターゲットの背景に

興味がない 多香緒


「実力は 金杯レベルと言って

差し支えないぞ

ロシア人で システマを

マスターしているらしい」


強敵であると、注意を 促す

アメヘダップ


「って ことは

ターゲットは ロシアに

いるのですか??」


ブラジルと、比べると

少々、近くはなったが


「いや

北海道に 潜伏している

みたいだ」


国内に、来ている。


「北海道なら 近いですね

すぐ 行きます」


妙に、軽いノリになる

多香緒

短期間に、金杯を 2人取って

感覚が、マヒしてしまっている。


「おお そうか

チームの 仲間とも

仲良くな」


チームワークが、重要だと

説く アメヘダップ


「問題の ありそうな

メンバーって います??」


少し、引っ掛かる 多香緒


「いや

特に 問題ある メンバーは

いないと思うが

1人 中央アジア 出身者が

いたな」


ちょっと、虚空を 眺める

アメヘダップ


「なんて名前ですか??」


身を、乗り出す 多香緒


「名前は ゴンボースキー

だったか

普段は 気のイイ青年だよ」


なんの問題もないと

ほほえむ アメヘダップ


「ゴンボースキー

中央アジアですか」


まず、中央アジア出身の

ハンター というのが

そもそも 珍しい。


「あれはたしか

デルスタンだったと」


「デルスタン・・・」

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