浪費癖

ボウガ

第1話

 あるギャンブル依存症の男A。学生時代からそうで、仲間たちはそれをなんとかして正そうとした。ある霊感のある男が、何をしたか知らないが彼にこんな提案をした。

「それならボランティアにつかったほうがいいだろう」

 彼はすんなり受け入れた。といってもただのボランティアではない。友人たちに金をばらまくのだ。友人たちは喜んだが、しかし不安でもあった。なぜあいつがいきなりそんな事をし始めたのだろう。


彼の友人Bさん。彼から一度も金を受け取ることはしなかった。学生時代から好きだったCさんに告白したが、すでに彼女はAさんと付き合っているという。

「ごめんね、気持ちはありがたいけれど、彼すごくいい人だから、私が喜ぶとなんでも喜ぶし」

 悔しい思いもあったが、彼女が幸せならそれでいい。


 しかし、その一年後彼女は事故にあってなくなってしまった。その葬式会場で、あのAは、ニタニタと笑っていた。つかみかかろうとしたが、彼は仲間たちにとめられた。

「Cはこうなりたがっていた、Cは心の病があったんだ」

「こうなりたがっていたって、どういう……」

「Aな、かなりの霊媒体質で、本当なら子供の頃に死んでいるはずなんだ、だけど彼の母親が拝み屋で……その、生き残る術をおしえていたんだ、それが……どこかの国の方法で、金に不幸をためて、人に渡すっていうやり方でな……初めはギャンブルだったんだが」

 Bはピンときた。初めにAにボランティアを進めた男をひっつかまえて、話をききだした。

「おまえ、何のためにこんな事……」

「彼から金をうけとったやつらをみて気づいたんだ、不幸になってるって、それで、彼女の事を考えたんだ、その頃には彼女の事を考えていた、俺のものにならいなら、どうにでもなれと思ってさ、奴は笑っていたさ、ギャンブルで不特定多数を不幸にするより、面白いって、彼女もすべてを知っていたのさ、彼女は……心を病んでいたから」

 Bさんは彼をひたすら罵倒したあと、なんとかAとさらに仲良くなり、彼の“ボランティア”を受けることにした。こうする事で愛した女性に会える日が早くなれば、それでいいと思ったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

浪費癖 ボウガ @yumieimaru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る