第11話 鉄風雷火は嵐の如く
ヒュッと、青年が手首のスナップだけで
放たれた
『はぁ!?』
それを目にしたハリーとノワは思わずハモった悲鳴を上げてしまう。
今投げたのはただの
立て続けに青年が
「いや、それ、そうやってつかうもんじゃねーだろ……」
同じ
引き抜いた
とても同じ職のやっている行動とは思えない。
青年が地を蹴って走る。地面が爆ぜたかと思うような踏み込みからの刺突に、三体の
それを目の当たりにしてノワはようやく、青年の
青年がその長刀を振るうと、突き刺さっていた
それらが纏めて糸へと形状崩壊してゆく様は、どっちが正義の味方か疑わしくなるほどに暴力的で――しかし、あまりにも強い。
これを脅威と見た二体の
「危ない!」
とノワが声を上げるも時遅く、鞭のようにしなる尾先が青年を打ちのめし――
「嘘でしょ……」
ては、いない。
どちらの尾も二振りの
「……いつ二本目抜刀したんだよ」
駆け抜けながら青年が翻す刃は鋼鉄の嵐となって
「支援を頼む。【
「へ? あ、はい。【
請われるがまま、反射的に【
そのままの勢いで青年は右の
『投げた!?』
トマスでは全身真っ黒でも落とせなかった首の、ちょっと黒く染まった部分に、投擲で深々と、だ。
声帯を貫かれ声も出せない
青年の着地と同時にあっさりと
「凄ぇ……なんて強さだ」
そんな青年の猛攻を目の当たりにして、ハリーが震え上がる。あれは、あんな――とても人に出来る攻め方だとは思えない。
それくらいに目の前の青年とハリーでは
狙いは精密無比にしてその豪腕はあまりにも暴力的。
粗野にして精微なる戦技の極地。柔と剛の融合。荒々しく、しかし美しい剣舞の極み。
「う、撃ちます!」
「ああ、頼む」
一応支援はあった方がいいと分かったノワが、残る
「凄いな、この距離で的確な着弾だ」
ほうと感心したような声と共に青年が
あまりにも圧倒的な決着だ。後は糸の洪水に飲まれて動けないでいる
第二陣もこれで壊滅だ。第三陣があるかは分からないが――ひとまずの危機は去ったと言える。
「失礼、指摘に従い本部への
あ、そういう理由で来るのが遅れたのね、とノワは半ば呆然としたまま頷いた。
「あと、
「あ、ああ……ほらよ」
ハリーから残る
「これで、全滅だ」
何度見ても冗談にしか思えない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます