第3話 織界士団アルセリア支部
だから
新たに編まれた世界に色を乗せない限り、そこはあくまで
異世界の
世界を織るための糸を紡ぎ、着色するのは女性職である
国際組織である
何もない空間に着色はできず、色がなければどれだけ世界を編んでもそこは
故に
だが、何事にも例外というのはあるものだ。
【黒泥】。
それが新米
世界はありとあらゆる色で満ちあふれているのに、ノワが付けられる色はただ黒一色。
三色ほどを己の内から引き出せれば、あとはそれを混ぜて様々な色を生み出せる。世界にそこそこ適切な色を置ける。
だがノワが己の内から引き出せるのは黒一色のみ。混ぜようもないただの単色、それだけだ。
世界の形と色は綿密に絡み合っていて、だから本来あるべき色形でなければ
溶岩に青い色は置けないし、土に紫や桃色は置けない。巨木の幹は緑色ではないし、川のせせらぎは橙色ではない。
編まれた世界に相応しい色を置かねば
「結局のところ、ノワには夜にしか色を置けないってのが問題なのよ」
夕食の後の反省会にてそうエルケは主張し、それは全くの事実である。
夜ならば、いくらでも黒を置ける。月が
だから夜ならばノワも世界を再編できる。
闇夜の中でも一際昏い、漆黒の泥沼にならノワも色を置くことができる。
それならば、いや唯一黒泥のみをノワは
「そもそも闇の中で透明な
そんなことは、反省会と称するエルケの
「そうは言っても俺たちが奴らの出る時間を選べるわけじゃねぇだろうが」
ハリーとユアンは治療のために早めにベッドに押し込んで、故にエルケの
もし昼に
「……ねぇ、私たち本当に大丈夫なの? この先やっていけるの?」
そう怯える仲間を励ますのも
十七歳のトマスが支部長。ハリーとユアンも同年齢。エルケと共に出撃する朝班は全員ノワと同い年の十六歳の、総勢八人が
もう、そこまで
エルケだって、本当はノワが悪いなどとは思っていない。
たとえそれが黒一色しか扱えなくても、黒泥の環境しか再生できない無能でも。
それでも
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