12.冒険者達の選択(後編)

 時はさかのぼり、北王領王宮謁見の間。メイヤーとの対談を終えた後、ソルディックは、王宮へ向かい、北王との謁見の機会を得る事に成功する。

「南下政策を撤回せよ、だと?」

北王は怒りに満ちた目でソルディックを睨みつける。

「はい。2年前の戦争で北王領は豊かな穀倉地帯を得ました。しかしまだ戦後2年しか経っておらず、民心も完全に落ち着いてはおりません。どうか、今一度ご再考をお願いしたく参上した次第であります。」

北王は怒りで、その蓄えた髭をワナワナと震わせる。

「我らドワーフ族はお前たち人間族と違い、戦いを恐れはせぬ。前国王は暗愚故、南の混乱という好機を無駄に過ごした。お前の様な商人達の言いなりとなってだ。だが今や好機は我らにある。子飼いの北王騎士団にドワーフ兵、そしてギルド兵を加えれば前回以上の版図を拡げる事が出来よう。」

「2年前の侵攻は不意打ちでしょう。それに相手も精強を誇る南王騎士団ではありませんでした。付け加えますと、先の内乱に終止符を打った現南王は無能などではありません。現にこの2年で人口比は大きく拡がっています。理由をご存じですか。南王は豊穣の神官達を南王領全域に派遣し、優先して疫病対策に重点をおいて清潔な水の確保を行った事で、子供達の死亡率を劇的に改善させたからです。一方、北王である貴方は何の指示をしましたか?疫病の罹患率は北と南で差はありません。ドワーフ族は元来病気に強い種族です。それを人間族は軟弱だ、と何ら策を打たなかったのは誰なのでしょうか。」

「貴様、この北王を愚弄するか!」

「事実を述べたまでです。北王騎士団、ドワーフ兵団は北王を支持するでしょう。ですが、ギルドは“内政不干渉”の鉄則に基づき、この度の南下政策には参戦を拒否します。」

「何じゃと?メイヤーがその様な事を許すはずが・・・まさか?!」

「はい、南下政策で使用する兵糧をある商人が買い占めました。そしてその多額の出資により、出資者上位5名からなる商工会の常任理事に就任が決まったそうです。」

「あ、あ・・・」

「上位出資者5人の最下位に王家ゆかりの商家が入っていたのは以前から知っていました。しかし少々出資をケチり過ぎましたね。口数の多いケチほど嫌われる者はいませんよ。」

「貴様、この国を乗っ取る気か!」

「その様なつもりは毛頭ありません。単に陛下の南下政策を諫める為に参上したまでです。」

「この者を捉えよ!不敬罪、不敬罪じゃ!」

「ほぅ、捉えられますか?この魔術師を。」

謁見の間の警備兵の足が恐怖で竦む。

「ご安心ください、僕も北方領の民です。不毛な戦いを善しとはしません。では、これにて失礼させていただきます。今日の件、くれぐれもお忘れないよう。」

ソルディックは北王に一礼し、踵を返すと謁見の間を去る。

「少なくともこれで北王は自ら兵を進める事はしないはず。次は、工房か。」

ウォルフス、鍛冶工房。

「おお、よく来たなソルディックよ。」

出迎えたのはギームだった。

「ギームさんもお元気そうで。」

「こっちでも噂になっておるぞ、北王陛下を恫喝した魔術師の話。」

「脅しはしていませんよ。ただ事実を伝えただけです。」

「やり方がだんだんケインに似てきたの、全く。」

「それより、ブロウニーさんは?」

「ああ、奥じゃ。」

奥の炉では、黙々と仕事に打ち込むブロウニーの姿があった。

「ブロウニーさん、仕事の依頼でお伺いしました。」

「何の仕事だ?」

「これです。」

ソルディックは懐から書面を二通取り出し、ブロウニーに見せる。

「コイツ、お前さんが使うのか?」

「まさか(笑)」

「まあいい。素材の調達は?」

「そちらは抜かりなく。」

「分かった、ギームの仲介だからな。引き受けよう。」

「よろしくお願いします。」

それからの数日、ソルディックは南側の情報を詳細に把握すべく、隊商の商人達と会話を重ねるが、有益な情報を得る事が出来ずにいた。彼は実家を売却後、ギルド会館を拠点に置いた。ギルドメンバーの増員に向けて手を打つ為である。死霊術師モルゲスの出方が不明な今、

考えうる手は全て先行する。ただ、南王が北に野心を向けない事、ソルディックの不安はその一点だった。だが、ある日を境に事態が急変する。ケイン達が旅立って20日ほど経過したこの日、シアナ達が戻ってきたのだ。

「・・・」

帰還メンバーに混ざり、頭を抱えて卓を囲むソルディック。

「まさかこの様な形で再会するとは、僕も想定外でした。」

「想定外はお互い様さ。取りあえず、フィリスをギルドに加えてやってくれ。お前の権限なら容易いものだろう?」

「ソルディック、ギルドに加えてくれ。南王軍相手でも全力で戦う。」

「フィリスさん、ギルドには“内政不干渉”の鉄則があります。ですので、南王軍とは戦いません。」

「ないせいふかんしょう?」

「王国の政治には関わらない、という事です。」

「じゃあ、ルフィア達には関わらないのか?」

「そんな訳ないでしょう、南王軍にはケインがいるのよ!」

語気を荒げ、シアナが立ち上がる。

「それは僕も十分理解しています。しかし、戦場で本当にかつての仲間に刃を向けられますか?・・・それが可能なのはシュロス君だけです。」

「ま、そういう事だ。せっかく悪い魔術師倒したってのに、災難続きだな、ソルディック。」

「問題が全部なおざりのままよりは、まだ良い、と考える事にします。とにかく、現状ギルドはこの戦争には関与しません。ですが、このギルド会館で過ごす限り、身の安全は僕が責任を持って保障します。」

「フィリス、入っておけ。お前の為だ。」

シュロスはフィリスの肩を押す。

「・・・わかった、入る。」

「ソルディックは、どっちが勝つと思ってるの?」

シアナの問いにソルディックは答える。

「南王軍に勝ち目は無いでしょうね。ラインフォート領を焦土にしても勝つ気概が、北方軍にはあります。残念ながら、ルフィア殿にそこまでの無慈悲さは持てないでしょう。」

「だが、戦争には時にして、一人で戦局を一変させるヤツが出現する。『英雄』ってのがな。聖騎士アンリ。果たして北方軍に勝てるヤツいるのかね?」

「何にせよ、このウォルフスにまで危害が及ぶ事はありません。今日は、ここでゆっくり暖を取りくつろいで下さい。当面の住居はギルドスポンサーである、モルゲス=ヘイドラー氏の御厚意にて後日手配されますのでご心配無く。」

『はぁ?!』

四人の驚愕の声に、いつもの涼し気な笑みで返すソルディックであった。


ソルディックは四人と別れた後、ギルド会館の自室へと戻り、山積みとなった書類の山に辟易する。

(色々、手を出し過ぎましたかね。本来はモルゲスをあぶり出す売名の策略だったのですが。)

嘆息し、ソルディックは羽ペンに魔法をかける。すると羽ペンは自ら書類を取り書類にサインを始める。

「よろしく頼むよ、羽ペン君。・・・ヴァネッサ、やはり君は戦いを選択したのか?」

物思いに耽るソルディック。すると、どこからか声がするのを感じる。

『・・・さん。・・ディックさぁん。』

(テレパス(精神感応)?いや、何か違う。)

『ヴァネ・・様を、たす・・・い。』

(冥界からの声?声の主は死の淵にいるのか。)

ソルディックは、右手で顔を撫でると、笑みを浮かべる。

「どのみち、彼女の名を出されては飛ぶしか無いでしょう。」

ソルディックはベッドに仰向けに寝ると、呪文を唱える。

「幽体離脱(アストラル・プロジェクション)!」

ソルディックは幽体となって、声の主を探る。

(僕がソルディック=ブルーノーカーだ。僕を呼んだのは誰だ?)

(ここですぅ。ワッチが呼んだですぅ。)

声の先には一人のドワーフの女性が浮いていた。

(君はドワーフ族?)

(自己紹介は後ですぅ。あっちを見るのですぅ。)

ドワーフの指先は、途方も無く巨大な龍を指していた。ソルディックは思わず息を呑み、ドワーフに尋ねる。

(あれは何ですか!文献にもこれほど巨大な龍の逸話は見た覚えがありません。)

(ある訳ないですぅ。あれは天変地異『カタストロフィー』が具現化した存在、厄災龍【カラミティ・ドラゴン】なのですぅ。)

(厄災龍?!)

(では、早く逃げるですぅ。今、厄災龍に睨まれたら魂ごと取り込まれて終わりですぅ。)

二人は急いで厄災龍の視界が及ばない場所へと逃げる。

(危ないところだったですぅ。ここなら自己紹介できるのですぅ)

(僕の紹介は不要かな。)

(はい。ワッチはメルルン。ヴァネッサ様にお仕えする呪術師ですぅ。)

こうしてメルルンは今までのいきさつをソルディックに語る。

(モルゲスの唱えた恐怖呪文は、彼の真の目的を投影したのですぅ。それが、厄災龍を目覚めさせる事だったのですぅ。モルゲスは、死の間を扱う術、死霊術を研究するうちに厄災龍にたどり着いたのですぅ。)

(しかし、モルゲスは死んだ今となっては厄災龍を目覚めさせる・・・いや、もう目覚めているのか!)

(そうですぅ。恐らく南の内乱で沢山の人が死んだ時にその魂を喰らって目覚めていたんですぅ。でもたぶん動く気にならなかったのですぅ。)

(しかし、2年前の戦争でも災害は起きなかった。)

(今度は違いますぅ。厄災龍をその気にさせる魂を喰らったのですぅ。)

(モルゲスの魂か!なら戦争は何としても止めなければ。)

(ダメですぅ。戦争で亡くなった人の魂を求めて、今度は厄災龍が地上に顔を出しますぅ。その覚醒前の時を狙って厄災龍を再びアビスへ叩き落とせば、『カタストロフィー』は、今後1000年起きる事は無くなりますぅ。)

ソルディックは、メルルンの容赦無い意見に言葉を失う。しかし、拳を握りしめ再びメルルンに問いかける。

(メルルンさん、厄災龍の出現のタイミングを占う事は可能ですか?)

(はい、1000年の未来のためにもやりますですぅ。)

(メルルンさん、君の身体は今どこに?)

(南王様の王宮ですぅ。ヴァネッサ様の部屋のすぐ近くですぅ。)

(なら、君の部屋で再び会おう。ありがとう、君の言葉は僕の救いになった。)

(厄災龍に見つかる前に会えて本当によかったですぅ。また会うのですぅ。)

ベッドから起きたソルディックは、滴るほどの汗を全身に感じる。先ほどの話が夢では無かった、と事実として受け止めた彼は、汗を拭きとり肌着を着替え出立の準備を整える。

「ヴァネッサ、遅くなりましたが、今日が約束の時のようです。『瞬間転移(テレポーテーション)!』」


そして現在。

南王領王都王宮、ヴァネッサの部屋。

「何でお前がここにいるんだぁ!、ソルディック!」

「ワッチが呼んだのでぇすぅ。」

メルルンがソルディックの後ろから、ひょっこりと姿を見せる。

「メルルンが起きてる?」

「どうしてもお伝えする事があったので、死の淵を彷徨っていましたぁ。ヴァネッサ様には心配かけたのでぇす。」

こうして二人は、今までのいきさつをヴァネッサに細かく説明をする。

「これからが僕の意見です。厄災龍が出現した時点でこの戦争の勝者は消えます。そして、もし厄災龍に勝利したのであれば、ラインフォート領はギルドが接収し南北どちらにも属さないギルド直轄領を宣言します。代表はルフィア=ラインフォート。君は、南王にこの承認を呑ませてください。それが出来なければ、争いは繰り返され厄災龍は再び目覚める事になります。人々が1000年の安息を得る最大の好機、出来なければ君に女王を目指す資格はありません。」

「あの時の少年が、大きくなったものだな。」

「当然です。あれから17年ですから。」

「私はお前が欲しい。」

「僕も君の全てが欲しい。でも今ではありません。」

ヴァネッサはふらつきながら立ち上がると、ソルディックに身体を寄せる。

ソルディックが苦笑しつつ、ヴァネッサに話す。

「僕は構いませんが、メルルンが顔を真っ赤にしてこちらを見てますが如何なされます?」

「!?」

「ほえぇ、これが大人の恋なのですねぇ。」

「いや違う、それは違うぞメルルン!」

~~~

「それでは、彼女をお借りします。厄災龍のサーチ役に必要ですので。」

「ヴァネッサ様、いってきますぅ。」

再びテレポートを使い、二人はヴァネッサの元を去っていった。

一人残された彼女は、再び酒に手を伸ばそうとしたが、手を止め宮女を呼ぶ。

「お呼びでしょうか。」

「湯浴みの用意を。酒を抜く。」

「承知しました。」

宮女が去るのを見て、ヴァネッサは呟く。

「ソル、メルルン、ありがとう。私が止められなかったルフィアをどうか救ってやってくれ。」


南王軍北進の情報は、北王領にも届く事となり、北王は直ちに志願兵を招集、計6000からなるドワーフ族、人間族混成兵団が結成された。

「ねぇ、どうしてさ!」

ティムは、鎧姿に身を固めたブロウニーを必死に説得する。

「言ったはずだ。俺は北方領民だ。だから、王の招集に応じる。」

「ソルディックから聞いたんだ、今度の戦争では沢山の人が死ぬって。兵士なんて他にいくらでもいるじゃん、戦いたい連中が戦えばいいんだよ。」

「その通りだ。だから俺は戦う。元気でな。」

ティムの背中を叩くと、ドワーフの職人は大斧を担ぎティムの元を去る。

「どうして、どうしていなくなるのさ。ケインも、ブロウニーも。」

「それが選択なんじゃ。彼らなりのな。」

「ギーム・・・」

「お主にも、いつか選択すべき時が来る。じゃが今はその時では無い。それだけの事じゃ。」

「ブロウニー、還ってくるよね。」

「神が望めば、な。」

ソルディックが帰還してから、ギルドは騒然となった。無理もない、相手は未知のドラゴンなのだ。だが、彼らの目には滾る炎があった。そう、破格の報酬である。

「この度の討伐に対し、モルゲス殿は君達に破格の討伐報酬を約束した。彼が約束を守る男である事は、これまでの君達への報酬が証明しているだろう。死を恐れるな、共に勝利を手に入れよう!」

歓声に沸く冒険者達を目にフィリスが呟く。

「まぁ、いけしゃあしゃあと言葉を吐くわ、あの男。」

「まぁ、実際人数減ってくれないと、報酬額払えないかもだしね。」

「その前に払う気あるかもわかんねぇからな、アイツ。」

既に戦勝気分で飲み騒ぐ冒険者達を眺めるシュロスにシアナが話しかける。

「ねぇ、何か隠してる?」

「え?い、いや何も隠してませんけど。」

「何か、凄く満足そうな顔してたからさ。」

「ははっ、そうかも知れねぇや。でも、もっと色々な場所をシアナちゃんやフィリスと冒険出来たらより楽しめた人生だったと思うぜ。」

「どういう意味、それ。」

「厄災龍の討伐はアンタに任せたって事、シアナちゃん。」

「何言いだすのよ、アンタも主戦力でしょうが!」

「俺はしょせん傭兵稼業の殺し屋。オレにはオレなりの獲物があるのさ。」

「誰?総大将ルフィアの事?」

「聖騎士アンリ。」

「えっ!」

「じゃあな、シアナちゃん。フィリスによろしく。」

シュロスはそう言い残すと、ギルドを後に去っていった。

「シュロス、行ったか。」

「フィリス?」

「最後にお礼、言いたかった。ここに一緒に連れてきてくれた事。シアナやティム、新しい友達も出来た。放っておいても良かったのに最後まで一緒にいてくれた。でも、私にはアイツのやりたい事を止める理由が無い・・・」

フィリスは大粒の涙を浮かべて泣きじゃくる。そんなフィリスをシアナは抱きとめ優しく慰める。

「ホント、勝手なオトコばかり。必ず戻って来なさいよ、シュロス。」


翌日、北王領旧ラインフォート領。

「よーし、テスト始めぃ!」

岩を吊り下げた、巨大な支柱に似た機械が動き始める。

柱はそのまま岩を持ち上げると、はるか遠くまで放り投げる。

「これで全ての投石機テスト完了じゃ。皆ご苦労じゃった。」

ドワーフの技術者たちは満足そうに頷く。

「そういえば、向こうのチームはどうなっておるんじゃ?」

「あっちの方はもうとっくに終わっておったぞ、ほれ。」

「おお、これが例の速射型クロスボウか!」

「この二つの新兵器があれば騎馬部隊なぞ恐るるに足らず、じゃ!」

一方、南王軍宿営地。

ケインは大本営に進むとルフィアの駐在する天幕に入る。

「失礼します。ルフィア様。」

「お入りなさい、ケイン。」

「団長アンリより報告が。明日の日中にはラインフォート領に入る予定。十分に英気を養われますように、との事です。」

「ありがとう。その鎧、だいぶ着こなせるようになりましたね。」

「はい、もう十分に戦場で動く事が出来るかと。」

「大剣は、どうして辞めたのですか。」

「団長に、長剣と盾での指南を受けています。混戦では大剣は不向き、との教えを受けまして、大剣は捨てました。」

「不思議なものね。」

「何がでしょう?」

「私にも貴方にも、共に戦う仲間がいた。それなのに、私も貴方も誰一人としていない。」

「またその話ですか。」

「私には見えない。ラインフォート領を取り戻し、領主となったその先が。共に戦った仲間達からの祝福も無い私は、どこへ進めば良いのか。」

「ここに集まった一万の兵は無視ですか?皆、南王陛下の為、貴女の為に明日命を懸けて戦うのですよ。」

「それは貴方の本心ですか?違いませんか。」

「・・・違ったらどうだってんだ、お嬢様。」

「ケイン?」

豹変するケインに、ルフィアは恐怖に襲われる。

「アンタはいいさ、そうやって愚痴を零せば。だが俺は明日戦地で戦う。もう妹を抱きしめる事も出来ないかも知れない。好きだった相棒と剣を交えるかも知れない。それでもこれは俺が、俺自身で決めた選択だ!アンタは殺させない。絶対に守り通してやる。」

ケインは踵を返し、天幕を去る。

「違う、違うのケイン。私は貴方を責めるつもりは・・・ただ、貴方の本心に触れたかった。」


明日、ついに南王軍はラインフォート領に進軍する。

南王軍10000に対し北王軍8000

数の南王軍か、技術の北王軍か。

南王軍第四騎士団陣営。

「功を焦るなよ、ケイン。まず生き残る事を考えよ。」

「はい、団長。」

一方、北王軍志願歩兵部隊

「お、兄ちゃん、アンタも騎士様目当てかい?剣や兜だけでも高く売れそうだものなぁ。」

「ええ、ホントいい金になりそうっすね。あ、オレ、シュロスってんでヨロシクっす。」


戦いの火ぶたが、今切られる。

厄災龍は、ただ静かに彼らの死を待つ。


今日はここまで。また会える日を楽しみにしておこう。

私の名は≪アンノウン≫。誰も知らない物語を語る、語り部だ。

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