(2)
「あなたですね……?」
私は、同僚の飛燕にそう言った。
同僚と言っても服も髪型も違う。
私の服は「蒼穹の民」の民族衣装を元にしたもの。詰襟の上着に
髪は延ばしているが、組紐を編み込んだ三つ編み。これも男女同じで、編み方や組紐の色は出身部族・氏族により違い、部族・氏族と縁を切った者は宗教者になる場合は髪を剃り落し、俗世に残る場合は目立たない色の紐で一本結びにする事が多い。なお追放者は髪を剃られて罪人である事を示す刺青を頭に彫られるが、最近は他の民族の悪ぶっている者達が、この姿を真似る事が有るらしい。
一方で「華の民」の出身である飛燕は、結うのにどれだけ時間がかかるか判らないような髪型に、肌の露出が多い割に動きにくそうな服、下は
この皇宮において、出身民族により服が違うのは後宮のみならず「表」でも同様だ。
「そう言われましても……
飛燕は、しれっと、そう答えた。
冗談じゃない。
少し前に実家に宿下がりをした時に、ある事に気付いた。
その時は、単なる疑いだったが……。
あの事を調べる機会は……今夜のみ。「敵」も、そろそろ気付いて証拠隠滅を図りかねない。次の宿下がりである1月後には証拠が消えてなくなっている可能性が有る。
「ですが……サラーナ様が、いずこかの殿方と付き合っている形跡は一切発見出来ませんでした」
「そこまで調べたのですか?」
「
「大体、女官は役付きになるか皇室の殿方の『御手付き』以外は
「まだ三年残っていますわ。それに、前王朝の貞淳皇太后が、お気に入りの女官の退職を二五歳まで
「その方、『華の民の地』の前王朝が国土の半分を失なう切っ掛けになった方ですよね?」
「え……ええ、まあ……」
「
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